| 写真モード(通常モード) | |||||||||||||||||||||||||||||||
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| 倍率2倍以上のデジタルズームを行ったときのみ、全画素読み出し(64MPixel)になり解像度が上がる。1倍から2倍未満までの間は16Mixelのビニング読み出し。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
| エッジ強調処理がもっとも強く、エッジ周囲に濃い縁取りが生じる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
| プロモード | |||||||||||||||||||||||||||||||
| デジタルズームを行っても全画素読み出しにならず、常に16MPixelのビニング読み出しになる | |||||||||||||||||||||||||||||||
| ・ | そのため、デジタルズーム時の画像が写真モードよりも甘い| ・ | この挙動はJPEGのみ保存か、RAW+JPEG保存かによらない | RAW画像にはデジタルズームが適用されず、常に1.0x(25mm)の広角の画像が保存される | ・ | 望遠(デジタルズーム)と広角の画像の同時保存ができる | ・ | このRAW画像はデジタルズーム中かどうかに関わらず常に16MPixelに固定され、全画素(64MPixel)読み出しのRAWは保存されない | Ultra-Resモード | 1.0x(25mm)の広角の画角のままで全画素読み出し(64MPixel)になる | ・ | 写真モードやプロモードの 1.0x より明確に高精細になる | ・ | 写真モードの2倍ズームとほぼ同等の解像感 | ノイズ除去やエッジ強調、色補正が弱まる | ・ | 解像感がありつつもエッジがギスギスしない、自然な画像が得られる | ・ | 「写真」モードの「ナチュラル」よりもさらに色味が自然になる | ・ | 画像がややノイジーになる | 機能が低い | ・ | デジタルズームや RAW データ保存ができない | ・ | 色味(ビビッド・ナチュラル)の変更ができない | | |||||
これを理解するうえで重要なのが「全画素読み出し」か「ビニング読み出し」か、です。このスマホを含め、最近の多くのスマホ用イメージセンサはQuad-Bayer 配列という画素配置となっており、通常は2x2の4画素の情報をセンサ上でひとまとめにしてから読み出します(ビニング読み出し)。ですので、64MPixelのこのセンサもこのモードでは16MPixel相当になるわけです。読み出し速度のほか、低照度時のノイズ特性などの点でメリットがあるとされます。
それでは、上記の各モードについて見ていきましょう。なお、それぞれのオリジナル写真はこちらで確認できます。
まずプロモードですが、こと解像感に関して言えば問題ありです。写真モード(通常モード)ではデジタルズームを使ったときに全画素読み出しモードに切り替わるのに対し、プロモードはビニング読み出し固定になっており、デジタルズーム時の解像感が明確に低くなってしまいます。上の写真は写真モードとプロモードで、2xデジタルズーム時の中央付近を切り出したものです。最近のスマホはこのように全画素読み出しとビニング読み出しを切り替えることで、デジタルズーム時の画質低下を抑制するようになっていますが、これが働かないのは致命的です。
プロモードではRAW画像の保存が可能ですが、このRAWも常にビニングモードのもので、全画素読み出しのRAW画像は保存できるようにはなっていないようです。ただしデジタルズームを使っているときもRAWには画像全体が保存されているので、広角と望遠の両方の画像が同時に得られるのは面白いですが、後述する Ultra-Res モードで撮影してから中央付近を切り出したほうが画質が良く、広角と望遠の両方の画像が得られるため、メリットはありません。1点、プロモードを弁護するとすれば、エッジ強調処理が通常の「写真」モードよりも弱く、特に倍率1倍の撮影時にはより自然な画像が得られます。ただ、これもやはり Ultra-Res モードで撮影した画像を1/2に縮小したほうが高画質です。
次に Ultra-Res モードです。このモードではデジタルズームはありませんが、画素数が4倍(一辺の画素数は2倍)ですので、通常モードの2xデジタルズームの画像と同じ画素数の領域を切り出すと、同じ倍率(画角)になります。結果は上の写真のとおりで、解像感には差がありません。同じセンサで同じように撮影しているわけですから、これはある意味で当然のことで、Ultra-Res モードで撮影した画像の中央付近を切り出したものが2xデジタルズームと言っても良いわけです。ただし注目すべきは、その画像処理の違いです。通常の写真モードではノイズ除去処理とエッジ強調処理がかなり強くかけられており、画質はいかにも「スマホの写真」らしい、ちょっとギスギスしたものになっています。それに対し Ultra-Res モードはノイズが見られますが、エッジ強調が弱いため、明部と暗部の境界線に黒い線などが出にくくなっています。
この写真は同じ倍率で違う場所を拡大したものです。大きく拡大して観察すると、橋のトラスが写真モードではギザギザしてしまっていますが、Ultra-Resモードでは滑らかで自然です。山の稜線も、通常モードでは稜線の縁に薄く黒線を引いたようになっているのが、Ultra-Res モードでは自然です。ほかにも手前の木々の描写も、Ultra-Resモードのほうが繊細さを感じさせるものになっています。
では、デジタルズームをしていないときではどうでしょうか。この写真は、Ultra-Resモードで撮影した写真を1/2の大きさにリサイズし(結果、画素数が全く同じになる)、同じ比率で拡大したものです。通常モードでは、デジタルズームをしない場合はビニング読み出しになってしまいます。そのため上の比較のように、精細度が明確に異なるものとなってしまいます。特にこの写真モードで2倍未満の倍率のときはエッジ強調が強くかかってしまい、山の稜線や建物の境界に不自然な陰影が現れてしまっています。手前の竹藪の質感なども、比べるべくもありません。縮小するとノイズが減少する効果が得られるため、Ultra-Resモードのノイズもさほど気にならないものとなっています。
しかし、こういう違いは画像を大きく拡大して、目を皿のようにして比べないとわからないのではないか・・そう思われるかもしれません。しかし、エッジ強調の弊害は画像を小さくしても残ります。上の写真は、双方の画像を通常モードの1/4、つまり1156x867画素の1Mpixelサイズに縮小したものの一部です。これぐらい小さくすると、確かに違いはわかりにくくなりますが、やはり山の稜線や建物の屋根のエッジなどに不自然さが残ります。また、手前の草木の繊細さも Ultra-Res モードのほうが高く見えるのではないでしょうか。実は、エッジ強調は画像縮小時の繊細さを低下させてしまうことがわかっています。髪の毛のような細い線が密集した画像を縮小すると、それぞれの線は画素よりも小さくなり、画素値への影響も小さくなるため、明暗のコントラストも低下していきます。この「コントラストの低下」が「細かさ」の質感知覚に影響することが科学的に確かめられており、たとえ画素レベルで解像していなくても、その背後にある「細かそう」という人間の予測を機能させることができるわけです。エッジ強調された画像はこのコントラスト低下の法則を壊してしまうため、画像を縮小しても自然な繊細さが損なわれてしまいます。
ほかにも、 Ultra-Res モードは色調やコントラストが自然で(写真モードでも「ナチュラル」設定にしていますが、それでも鮮やかさが強調されます)、いわば「一眼デジカメで撮ったよう」な落ち着いた印象があります。撮影した元画像はこちらにありますので、確認してみてください(各撮影モードはファイル名で分かるようになっています)。ノイズは少し増えますが明るい環境では問題になるほどではないし、縮小すれば弱くなります。さらに後処理で、例えば Topaz Photo AI のような高度なソフトウェアを用いると、スマホ内処理よりもずっと自然にノイズ除去ができます。Ultra-Res モードは画像サイズが9248x6936画素ととても大きく、ファイルサイズも24MB前後と大きくなってしまいます。こんな大きな画像が必要になることはまずないので、スマホ内に「Ultra-Resモードで撮影し、その結果を1/2に縮小する」モードがあればよかったとは思いますが、縮小しない画像が保存されるということは、デジタルズームの代わりに、あとから切り出し(クロップ)が使えるというメリットにもなります。
センサから全画素読み出しして画像を生成し、それを縮小したら画質が高い、とするなら、デジタルズームなしの1x撮影でもそうやって動いてくれればいいとは思うのですが、そうはなっていません。暗所でのノイズ耐性を考えるとやむを得ないところでもあります。それでは、何倍から全画素読み出しに切り替わるのでしょうか。1.1倍ぐらいから切り替わるのであれば、ちょっと面倒だけれども、少しだけズームアップして撮影するという手が使えます。そこで確かめたところ、残念ながら2倍を超えてから初めて全画素読み出しに切り替わるようでした。上の写真では、1.97倍と2.05倍の間で解像感が急に向上していることがわかります。この挙動から、2倍未満のデジタルズームで撮影するよりも、Ultra-Resモードを用いたほうが良い(切り出して縮小するほうがよい)ことがわかります。
今回のテストは日中の明るい環境でのものということに注意は必要です。通常モードは明るさに合わせて自動でモードが切り替わり、暗いときには多数の画像を撮影して合成する「ナイトモード」も有効です。明るいときと暗いときで使い分けるのがいいように思われます。ただし、Google Photo では画像の切り出しや補正ができますが、縮小機能がないのが困りものです。6400万画素のファイルを共有すると相手にも迷惑でしょう。そこで、自前で縮小・圧縮を行うアプリも作ってしまいました。アプリストアの画像縮小アプリは広告がでるものばかりですので。
結論を最後にまとめます。こと razr 40 に関しては、いかにもスマホ撮影画像らしい強いエッジ強調を避けるために Ultra-Res モードがとても有効です。また、デジタルズームのかわりに Ultra-Res モードで撮影し、切り出す方法も有効です。プロモードは解像感の面ではデメリットが大きく、64MPixel RAW は保存方法がないようです。他のスマホではまた状況が異なりますが、同様にテストをすれば、各モードの利害得失を把握することができると思います。
次は、冒頭に述べた「スマート高解像度」と「ショット最適化」の設定の影響について調べてみます。