2011年11月25日

電子書籍端末その2

先日こちらで,amazon の新しい電子書籍端末,kindle 4 を紹介しました.それからいくらも経っていないのですが,良く似たものをまた買ってしまいました..kindle のライバルと目される,本日発売の Sony Reader PRS-G1 です.

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見ての通り,大きさも画面の雰囲気もほとんど同じです.それもそのはず,画面の部分はまったく同じ E Ink 社の Pearl という電子ペーパを採用しており違いようがありません.大きさ重さもほとんど同じですので,以下で簡単に比較してみました.


kindle 4PRS-G1
質量170g185g
厚み8.7mm9.4mm
容量2GB2GB
タッチ操作×
無線LAN
3G×
日本語入力×
メモリスロット×
国語辞典×
英和辞典×
値段9,806円25,800円



・・ということで,本を読む,ということに関してはあまり差がありませんが,付随する機能が大きく違います.一番使い勝手に関係するのがタッチ操作で,これは単に本を1ページずつ読み進めるときにはほとんど必要がないものですが,文字の入力やウェブブラウザを使うときのリンクのクリックなどで比べものにならない差があります.kindle では基本的に,初期設定など限られた場面で文字操作をするだけで,あとは使う気になりません.その点 Sony Reader では,タッチ操作で文字が入れられる上に日本語変換も搭載されていますので,いざとなると次の写真のように,gmailなどからのメールの返信も可能です.

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そして,そのウェブブラウザを使うときに効いてくるのが3G通信です.この Sony Reader では,au の回線を使って通信する機能があります(これが省かれた PRS-T1 という機種もあります).実はこれがポイントで,この機種では,オンライン電子書籍ストアにアクセスする極めて安価な契約の他に,月額 580円でどのようなサイトにもつなぎ放題の契約が可能です.普通,iPad や android のタブレットでは,3Gでのつなぎ放題を契約すると月に数千円はかかるのですが,なんと580円.なぜこんなに安いのかというと,この端末,電子ペーパを採用しているためにカラー表示や動画の表示ができません.よって,通信帯域を圧迫していると言われる YouTube などの動画サイトを見ることが出来ず,基本的にテキストと静止画のサイトを見ることになります.これらは動画に比べはるかに通信データ量が小さく,そのために安価な設定が可能になっているものと思われます.

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画面が書き換わるときには画面の白黒反転が起こり,これがウェブ閲覧の時には頻繁に起こるので,どんどんページを読み進めるのは快適ではありません.しかしスマートフォンより画面が大きく,文字が見やすいのも確かです.出先でメールチェックし,たまに短い返信をするにはかなり良い端末のように思われます.kindle 4 にもウェブブラウザは搭載されていますが,前述のように日本語入力が出来ませんし,リンクのクリックにも十字キーでまどろっこしく選択をする必要がありますからほとんど実用的ではありません.その点,Sony Reader のタッチセンサはマルチタッチに対応していて,ウェブ画面のタッチ操作でのスクロールや,二本指操作で画面の拡大縮小も可能です.しかもこのときは,画面が荒くなりますが非常に素早くタッチ操作に追従し,「電子ペーパってこんなに速い表示もできたのか」と,ちょっと驚かされるものがあります.

その他にも多くの違いがあり,microSD カードでお手軽に容量が増やせることや,国語辞典・英和辞典が搭載されていてちょっとした電子辞書のかわりになること,手書きメモ機能が結構使いものになること,さらに日本語の新刊が電子書籍ストアで既に発売されていることなどの違いもあります.pdf ファイルの表示では,学術論文のような横書き二段組を読みやすくする機能や,余白を自動的に判定して切る機能などもあり,全体に快適感が違います.・・ということで,この Sony Reader,かなり良いのですが,問題は値段.kindle は広告が画面に出ないモデル(日本から直接買えるのはこれだけ)で109ドル,日本までの送料込みでも1万円以下で購入できます(上野表の値段は10月に購入したときの実際の支払総額です).それに対して Sony Reader は2倍〜2倍半.ちょっと,いや,かなり躊躇する差ですが,結局ほとんど同じ重さで,これだけの機能の違い,そしてやはり,3G通信が580円で使い放題・・・という魅力に負けてしまいました.さて kindle の運命やいかに.
posted by しんさく at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 電子モノ

2011年11月20日

貸せない電卓

ここのところ,ずっと「モノ」の紹介ばかりで,すっかりオタク度を増しているこのブログですが,今回もまたマニアックな電子モノの紹介です.といっても,たかが電卓ですが..

電卓というと100円ショップでも売っているぐらい安く,またそれで普通は十分な性能や機能があります.ただ一方で,理系御用達,技術者必携の関数電卓というものもあり,これはやたらたくさんスイッチが付いていて取っ付きにくい印象のものですが,三角関数や対数・指数の計算がすぐにできる以外は普通の電卓とそんなに違いがありません.しかしここで紹介するHP(ヒューレット・パッカード)の電卓は,ぜんぜん違います.おいそれと人には貸せない・・というのは,普通の電卓のつもりで操作しても,ただの1+1の計算も出来ないのです.

このHP社の電卓は,伝統的にRPN(逆ポーランド記法)と呼ばれる方法で計算を行います.情報系の学部では大学1年か2年の時に習うことが多いのですが,普通の数式の 2+3 のように,足し算をする二つの数値(2と3)の間に足し算の記号(+)を置くのではなく,2 3 + という風に,数値の後ろに演算子を置く方法です.ちょうど日本語での説明に近くなっていて「2と3を足す」というふうな表現と同じ順序になっています.

利点は,括弧を使う必要がないということです.たとえば (2+3)×(4+2) を計算するときは括弧が要りますが,RPNでは 2 3 + 4 2 + × とすると同じ計算ができます.「2と3を足したものと,4と2を足したものをかける」という説明通りの計算になります.他には,伝票計算のように,単価と数量から合計を出すようなときにも便利です.100円のものを4個,70円のものを3個買ったときは,100 4 × 70 3 × + とすれば良いわけです.電卓では,100×4の計算結果の400を,次に70×3をする前に,一旦どこかに記憶しておく必要がありますが,それが不要になります.

ちょっと分かりにくいかもしれないので,以下のようなムービーを作りました.





このように,この電卓ではRPNの順序で計算ができる以外に,誤差のない計算も出来ます.1÷3のような計算では 1/3 という分数のままにしておき,割って 0.33333.. にしてしまわないという,言ってみれば数学の問題を解くときと同じようなことが出来ます.さらに数式同士の加減乗除,因数分解や展開,さらに方程式の解を求めたり,微分積分をしたりなど,たいていの高校生レベルの数式処理は出来てしまいます.ここでは紹介しませんが,sin, cos などの関数でも複素数を使えたり,行列やベクトルの演算も出来ます.行列では,各要素に数式を入れることも出来ます.数式のグラフを画面に表示したり,単位付きの計算を行うことも出来ます.

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このような電卓,もともとは高校時代に知ってどうしても欲しくなり,購入したのが始まりでした.わざわざ大阪まで何時間も電車を乗り継いで出かけていき,今も忘れない 47,000円という本来は定価売りの商品を,なんとか頼み込んで5%だけ割り引いてもらって購入しました.この時に買った電卓は,上の写真では左端の黒っぽいもので,折りたたみ式になっている HP28S という機種です.高校生には高い買い物でしたが,20年以上たった今でもちゃんと動作しますし,その間さんざんお世話になりました.そう思うと実は安い買い物だったのかもしれません.

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電源をいれて見ると,見ての通り,液晶画面の表示デザインはほとんどちがいません.RPNの計算ではほとんど同じ使い勝手ですし,この1980年代の計算機でも既に,数式の微分積分や因数分解,複素数や行列の演算は可能です(分数のままでの誤差なし計算などは出来ません).最近のものは液晶画面が縦に伸びて,「スタック」に格納した数値や数式がたくさん見えるので便利ですし,SDカードを装着してメモリ容量を増やせるなど機能も向上していますが,基本的な部分の使い勝手が不変なのがうれしいところです.

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HPの電卓は,1990年ごろまでは日本でも売られていましたが,現在は,日本からはほぼ撤退をしてしまっています.上の写真では真中に置いてある銀色の HP48gII(後期型)は,上の写真の値段シールにあるように,ボストンはMITの生協で購入したものです.ですが日本からも Amazon.co.jp などでも購入ができますし,なんと最近購入した HP50g という最新機種には,付属CDに日本語の説明書が収録されていました.ちょっと前は日本語の説明書が全くなく,それが敬遠される理由になっていましたが,今はまたちょっと手が出しやすい状況になっていると言えるかもしれません.
posted by しんさく at 00:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 電子モノ

2011年11月12日

変わり種工具二題

最近,ちょっと便利で怪しげな工具を二つほど入手したのでご紹介.

1つは,セットドライバーです.ホームセンターの工具売り場に行くと,いろいろなドライバーが売っています.やはり使いやすいのは単品のしっかりしたものですが,毎日使うならともかく,PCに部品を組み込むなどたまに使うだけなら,いくつかのサイズのプラス・マイナスの頭の揃ったセットドライバーが便利です.ただ,どうしても使い勝手は単品に劣ってしまいます.

工具売り場でよく見かけるセットドライバーは,先のビット部分が短い部品になっていて交換できるものです.このタイプは柄のほうにラチェット機構(一方向に空回りする機構)が付いているものも多いのですが,ドライバーではくるくる回せば済むのであまりラチェット機構は必要ありません.むしろ手が触れたときに切り替わってしまい,思った方向とは逆に空回りしたりしてイライラするので,ラチェットのないものが便利です.またこの種のドライバーは,柄の部分からドライバーの先までが短すぎるもの,太すぎるものが多く,PCにボードを組み込む時など,うまく正面からネジを回せないことが多いのも困りものです.

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そういうわけで,ホームセンターに何かの用事で立ち寄ると,いつもついドライバーコーナーをざっと見て「ああ,やっぱりあの理想のセットドライバーは売ってないな・・」と思っていました.この理想のセットドライバーというのは,かれこれ10年以上前,同僚の方が持っていたもので,セットドライバーなのに使い勝手は普通のドライバーとほとんど変りないものでした.それを最近とうとう発見して入手したので,これまでに買ったものも併せて紹介します.

上の写真で,一番右のドライバーはMITに滞在していた頃にケンブリッジ市のホームセンターで見つけたものです.後に動画がありますが,これは驚くほど凝った構造をしていて,柄の部分を引いて延ばし,回すだけで他のビットが選ばれ,先に出てきます!ホームセンターで良く売っているセットドライバーは,このビットが別体になっていて,ケースに収められていたりするので,そのケースごと持ち歩かないとならないのが難点ですが,これは内蔵されているので単体でOK.全体にドライバーのような縦長の形をしていて使い勝手も悪くないのですが,難点はビットが短く少しガタがあること,全体にかなり大柄なこと,それにやはり,ドライバーの軸の部分が普通より太いことです.





次に紹介するのは,右から二番目のドライバー.これも米国出張中に,確かサンディエゴかどこかのグッズ屋さんで購入したものです.アメリカには,いかにも男性向けというような,一見便利そうで,実はぜんぜん実用的じゃないグッズばかり揃えた店・・例えば,Brookstoneとか・・があって,しかも時間を持て余している空港にあったりするので困ります.さて,これは,柄の部分の外周にぐるっと備わった軸の部分を回して正面へ出せばすぐ使えるのですが,実際にはあまり使い勝手の良いものではありませんでした.まず,軸を正面に出しているときにがっちりとは固定できないので,力を入れると軸が格納方向に回ってしまい危険.また柄の部分が太すぎ,またゴツゴツしていて回しにくいのです.何故か懐中電灯機能もあって,そのクリップ部分の出っ張りもじゃまになるという,実際の使い勝手はあまり考えられていないシロモノでした.

そして,最後に登場.これは SWITZ TOOL のシステムドライバーIIという商品で,動画にあるとおり,柄の外周にある軸を前へスライドし,真ん中に挿し込むと固定されます.先のドライバーのように曲がる方向に力がかかっても倒れることはないし,黄色い部分を少しねじると抜けなくなるので安心.軸も普通のドライバーと同様の細さで,柄の部分も回しやすく文句ありません.ドライバーのビットの先も丈夫そう.少しガタがあるとか,思ったより重いということはありますが,収納時にコンパクトだし,他の二つよりはずっと「普通のドライバー」として使えます.

やっと見つけて調べてみると,通販でも購入できる様子.この名前が分かっていれば探せたのですが..以前同僚に見せてもらったものからは少し変更されているようですが,これでやっと「あのときのドライバー」をさがす呪縛から逃れられます..

ちなみに最初の写真で一番左にあるのは,ドライバーの先をスライドして交換できる精密ドライバー.これも SWITZ TOOL が作っているものがオリジナルのようですが,私が前から持っているこの黄色いものは,いわゆる「類似商品」というか「模造品」?のようです.

さて,この SWITZ TOOL の工具を入手し,なるほどと web で見ていると,このメーカ,他にも怪しげな工具を作っています.そのなかで面白そうと思って通販で買ってしまったのが,次に紹介する「ラチェットモンキー」.工具にある程度馴染みのある人なら,この名前だけで「おっ?そんな変なモノが?」と思われるはずです.

前にも書いたように「ラチェット」とは一方向に空回りする機構で,重いネジを何度も回すときには便利です(軽いネジなら手でも回せるので,ラチェット機構はあまり必要ありません).ラチェット機構はドライバーの他に,ソケットレンチ(ボルトの先に覆い被せる方式の六角レンチ)やメガネレンチ(ボルトやナットにかぶせる,丸い穴の開いたレンチ)ではよく見かけますが,ボルトやナットに側面から挿し込むタイプの工具では見られません.それもそのはず,ぐるぐる回る部分がないわけなので,ラチェット機構を備えるのは困難です.

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それが,この「ラチェットモンキー」.なんと,一方向に回すときは普通のモンキーレンチなのですが,逆に回したときにはアゴの部分が若干開くようになっていて,ボルトやナットの六角形を使ってラチェット機構を実現しています.動画像はこちら.





工具の反射もあって暗い動画になってしまっていますが,アゴを開く機構がよくわかると思います.もちろんこの機構をロックして普通のモンキーレンチと同じように使うことも出来ます.この手の工具を使うとき,柄の部分が他の部品に干渉して,思ったようにボルトを回せないことがありますが,このラチェットモンキーではそこを改善すべく,柄の部分が前後90度まで曲げられる機構まで備わっています.

モンキーレンチはあまり強い力のかかるボルトやナットには使えませんが,水が漏れるようになった蛇口のパッキン交換など水回りでは使う機会が多くあります.水回りのナットでは漏れ止めのテープを使うことも多く,指では回しづらいこともある上,ソケットレンチやメガネレンチは使えないので,レンチを60度ごとに差し替えている手間にイライラすることがありますが,この工具で解消できそうです.

まあおもちゃですけどね..


posted by しんさく at 22:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 電子モノ