2013年09月23日

ぶれ追放のために その2

前回に引き続き,三脚まわりの話題です.

三脚にカメラを固定するときは,「1/4インチネジ」というネジで締め付けるようになっています.これは標準規格になっているのでほとんどのカメラに使えますし,私自身も銀塩からデジタルまでたくさんのカメラを持っているので,これを使えないと話になりません.しかしメインで使っているデジタル一眼レフカメラだけはもう少し便利にしようと,いわゆる「クイックシュー」に相当するものを付けました.

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クイックシューというと,安価な三脚の雲台にも付いていますが,たいていはカメラの底からネジを十円玉かなにかでねじ込むようになっていて,あまり力がかけられないこともあって,撮影中にカメラが緩んだりしてイライラしたことがある方もあると思います.それよりはずっと,雲台に付いている,大きなノブの付いたネジで固定したほうがしっかり装着できるので,私自身はあまりクイックシューは使わないようにしてきました.ところが最近,「アルカスイス・スタイル」と呼ばれるタイプのシューが広く使われるようになってきました.特に上の写真のように,カメラの各機種ごとに専用設計になった「L型プレート」は,カメラ底面の形にぴったりフィットするように作られていて,カメラがガタガタする余地がありません.底のネジも六角レンチで締め込むようになっていて,しっかりと取り付けることが出来るようになっています.

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このようなL型プレートの利点は,カメラを縦位置で使うときにバランスよく取り付けられることです.普通の雲台では,縦位置撮影の時は,カメラの重心が三脚の脇に出ます.そのため水平が取りづらかったり,重いレンズをつけるとバランスが悪くなったりしますが,このL型プレートを使うとそのような問題はありません.前回の記事でも書いたように,ローアングルの撮影などでもカメラの下部につっかえるものがありませんので,便利です.

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このような「アルカスイス・スタイル」のクイックシュー(クイックリリース・クランプ)はあちこちのメーカから発売されていて,有名ところは米国のKirk(KES)RRS(Really Right Stuff)かと思いますが,他のメーカでも手がけるところが増えてきて次第に安価になってきていると思います.私の場合,プレートとレールにはRRSを,クランプにはKirkを使っています.

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三脚の方には普通のダブルナット式の雲台の上にクランプを取り付け,他のカメラを取り付けるときにはクランプを外します.汎用シューをカメラに付け替えるよりは便利です.望遠レンズには写真のように長いプレートを取り付けて,前後バランスを調整できるようにしています.長いプレートはレンズを運ぶ時のハンドル代わりにもなって便利です.この写真のレンズ(Nikkor ED 500mm F4P IF)は三脚座が小さく,かつネジ穴が三脚座の前端と後端に2つついているので,そのまま雲台に付けるとしっかり装着できないのですが,プレートから2本のネジで固定するとかえってしっかり固定できます.このプレートを付けたままで前回の記事に書いたように一脚にも固定ができます.

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一脚には,前回の記事で紹介したようにクランプが固定された一脚用の雲台を付けていますが,ちょうどシグマのレンズの三脚座,TS-41は底面が台形になっていて,幅もぴったりなので,傷を厭わなければそのままアルカスイス・スタイルの雲台に固定ができます.この三脚座,実はこのことをこっそり狙って設計したんじゃないかという気がします.

この手のプレートを使うと全部のカメラに付けたくなるとかいう話も聞きますが,メインで使うレンズやカメラだけでもかなり便利になりますし,各メーカからいろんな特徴のあるパーツが出ているので,それらを組合せて自分なりのシステムを作るのも面白いと思います.

最後に,超望遠レンズ 500mm にニコンのAFテレコンバータ TC-16AS を組合せて撮影した写真を掲載します.TC-16AS は,マニュアルフォーカスのレンズをオートフォーカス化しつつ,1.6倍のテレコンバータとして動作するもので,もともと D800E では動作しないものを,電子回路部分を改造して動作するようにしたものです.改造の方法は国内外の様々なウェブサイトで紹介されています.この写真では三脚は使わず,車中から窓枠にレンズを乗せてブレを防ぎ撮影しています.アオサギは警戒心が強いので,車中に身を潜めて姿を見せないようにしたほうが近寄ることが出来ます.

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Nikon D800E, Ai Nikkor ED 500mm F4P (IF) + Nikon TC-16AS(改)
マスターレンズ F8(合成F値:F12.8) 露光時間 1/640秒 ISO560
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ぶれ追放のために その1

今回と次回は,ぶれ追放の決定的道具,三脚や一脚と,そのアクセサリまわりを紹介しようと思います.

最近のカメラは手ブレ補正機能が付くようになり,高感度設定の時の画質も良いので,以前に比べるとずっと手持ちで撮影できる範囲が広がっています.でもやっぱりシャープな写真を撮るには三脚が一番ですし,レンズを絞り込んだり,同じフレーミングで何枚も撮ったり,長時間露光をしたりといった場合には三脚は手放せません.同じような三脚なのに値幅が大きく,いいものを買うのには躊躇しますが,カメラ本体に比べると長く使える道具なので,ちょっと余裕があるときにしっかりしたものを買っておくのがおすすめです.

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三脚にもいろんなメーカがありますが,僕の場合はイタリアのマンフロット製を愛用しています.海外製は高そうな印象がありますが,実は国産のトップメーカーと比べても同じか安いぐらいで,なかなかおもしろい設計の製品が多いのでお勧めです.私はメインの三脚として190MF3を,一脚にはMM294C4を使っています.どちらもカーボン製で軽量です.

私が三脚を選ぶ時の基準にはいくつかありますが,1つは足の固定をレバーでできること.フランス製のジッツォや国産の三脚には,ノブを回すタイプのものが多く,耐久性や固定力ではノブ式のほうがよいと言われる方もありますが,実際にはレバーでも劣る部分はありません.むしろノブ式は締め付けが緩くても視認できないことや,両手を使わないと締め付けができないものもあり,操作に時間がかかることもあって私はおすすめしません.

もう1つは,やたらと足の分割数が多い三脚を選ばないことです.この190MF3は3段式で,足を2回伸ばせば最大の高さになります.他に190MF4という4段式のものもありましたが,段数が増えると操作の手順が増えるほか,先に行くほどパイプの直径が細くなり強度が下がること,金具が増えることでかえって重くなったりかさばったりすること,がありあまりおすすめではありません.三脚単体では小さいように思えますが,結局雲台を付けるとさほど大きさも変わらないので,山歩きなどでどうしても長さに制限がある場合以外は3段にするほうがいいと思います.

このマンフロットの三脚190MF3を使っている1つの理由に,セッティングの自由度があります.

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左の写真のように,もちろん普通に三脚として立てることができます.さらに中央の軸(センターポール)を分割することができ,開脚角度も90度まで広がるので,上の写真のようにベッタリと地面近くまで下げることもできます.しかし最近のちゃんとした三脚であれば,このような機能はどれにも備わるようになりました.しかしこのマンフロットの特徴は,センターポールを水平にも刺すことが出来る点です.右下の写真のように,センターポールを水平方向に刺すことが出来るような構造になっていて,これを使うと地面にごく近い花などをトルことも出来るし,書類の複写のように床を真上から見下ろしたようなアングルで撮影することもできます.なおこのマンフロット三脚は,現在は190CXというシリーズに置き換わっていて,さらに容易な操作でセンターポールを倒すこと出来るようになっています.

写真撮影の場合,超望遠レンズなどを使わないなら,雲台はボールヘッドがお勧めです.サッと向きを調整でき,固定力もレバー式のものに遜色ありません.私はカメラに固定するネジが二重(ダブルナット)になっていて,しっかりと締め付けられるものが好みなので,ベルボンの雲台 QHD-61 または PH-163HA を使っています(でも現行タイプはネジが1重に変更されてしまい,二重ネジのタイプはほとんどなくなってしまいました..)

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三脚に対して,一脚を使う必要性のある人は少ないのではと思います.基本的には,カメラ本体でなくレンズ側に三脚座があるような重量のある望遠レンズを使うときにブレ防止になるのと,長時間の撮影が楽になります.長時間と言っても,2〜3kgのレンズを構え続けるのは数分で限界ですから,このクラスのレンズを使うときは,鳥やサーキットだけでなく運動会レベルでも楽になります.一脚にレンズを固定した場合,カメラを左右に振るのは一脚ごと回せばよく,また上下に振るのは体の前後移動で可能ですが,カメラを上下に大きく振ることはできなくなります.そのため,一脚には一脚専用の雲台を付けると便利になります.私の場合,米国 Kirk 製の一脚用雲台,MPA-2を付けました.基本的に,一脚には超望遠レンズしか付けないので,ネジが着いておらず専用のプレートが付けられるようなタイプを使っています.写真はMPA-2に,やはり米国Really Right Stuff製のプレートを介して500mmの超望遠レンズを付けたところです.この一脚用雲台はとても良く出来ていて,まったくガタがなく,また軽い力で締め付けるだけでこのような超望遠レンズを付けてもビクともしない逸品です.

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カメラを一脚や三脚に取り付けるには,基本的には三脚穴に締め付けるネジを使いますが,私は最近,写真のような「アルカスイス・スタイル」のプレートを導入しました.これを使うと,上の写真のように,カメラを下からでなく,側面からでも三脚に固定できるようになります.上の三脚の写真でも,ローアングル撮影のセッティングでは同様にカメラを側面で固定しています.このアルカスイス・スタイルのプレートについては次回紹介しようと思います.

最後に,上で紹介した望遠レンズ(Ai Nikkor ED 500mm F4P IF)に3倍テレコンバータを装着して撮影した月の写真を掲載します.

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Nikon D800E, Ai Nikkor ED 500mm F4P (IF) + Kenko Teleplus PRO300 3X
マスターレンズ F11(合成F値:F33) 露光時間 1/10秒 ISO100
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2013年06月01日

キワモノ・・にあらず

今回は,まともな人なら買わないであろうカメラアクセサリ,3倍テレコンバーターのご紹介です.

テレコンバーター(リアコンバーター,エクステンダー)はカメラとレンズの間に装着して,レンズの焦点距離を普通1.4〜2倍程度に伸ばすアクセサリです.

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上の写真の4個のテレコンバーターは,シグマとケンコーから発売されている(または,過去に発売されていた)テレコンバーターです.うち黒い3本がシグマ製で,私が望遠レンズとしてメインで使っているシグマ 100-300mm F4 EX DG HSM に装着するために使っています.左下の薄いものが1.4倍で,右下のものが2倍のそれぞれ現行タイプ(DGタイプ).右奥のものも2倍で,少し古い非DGタイプですが,同じ2倍がなぜ2つもあるのはか後述します.そして左奥の白いものが今回の本題,ケンコーのテレプラスPRO300 3Xです.

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これらのテレコンバーターのうち2本には,ニコン純正にない特徴があります.それはオートフォーカス用の連動スクリューを備えているという点です.ニコン製のテレコンバーターはレンズ内にオートフォーカス用のモーターを備えているレンズ(AF-S, AF-Iレンズ)専用で,それ以前のオートフォーカスレンズ,つまりカメラボディ内のモーターからレンズ側へ機械的に力を伝達してピント合わせをするタイプのレンズを使うことができません(そのため,これらのニコン製テレコンバーターは,対応する一部の大口径超望遠レンズにしか装着できないように細工がされています).上の写真の赤丸内はオートフォーカス連動用のスクリューです.

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最近はレンズ内にモーターを搭載したレンズが増え,またカメラとしても,ボディ内モーターを省略した機種が増えてきたために,テレコンバーターからもこの手のスクリューが省略されるようになってきています.シグマ製のテレコンバーターでも,現行モデルでも既にスクリューが省略されています(その前の非DGタイプでも,上の写真のものにはスクリューがありますが,付いていないものもあります).またケンコーの3倍テレコンバーターでも,私の所有するものの後継機種,PRO300 3XM でもスクリューが省略されマニュアルフォーカス専用となっています.しかしそれでは不便なため,わざわざ旧型のスクリュー付きのテレコンバーターを探して購入したわけです.

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これらのテレコンバーターをつけた様子です.上の写真は,シグマの 100-300mm F4 EX DG HSM というレンズ(モーター内蔵レンズ)に,1.4倍のテレコンバーターをつけたところです.このレンズは既に製造中止されていますが,単焦点の300mm F4レンズに迫るほどの非常に高い性能を持っていることで一部で有名なレンズです.1.4倍のテレコンバーターを付けると合成F値が5.6になるため,上のようにマウントアダプターFT1を介してニコン1に装着するとオートフォーカスが使用出来ます.

また下の写真は,3倍テレプラスを旧型のAFニッコール 300mm F2.8 に装着したところです.このレンズはボディからAF駆動するタイプで,こちらも既に製造中止されていますが,この3倍テレプラスを装着すると合成F値がF8あたりになり,D800でオートフォーカスを使うことができます.現行型のAF-S 300mm F2.8 では最大でも2倍のテレコンバーターしか存在しないので,その点ではこの旧型の組み合わせにアドバンテージがあることになります.

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900mm F12

さて,この手のテレコンバーターというと画質劣化が気になるところです.よく「つけずに撮った写真をトリミングしたほうがまし」といわれることもありますが,撮り比べて詳細に比べてみると,まったくそんなことはありません.D800Eの高解像度でも,テレコンを付けて撮影した写真と,つけずに撮影した写真を同じ大きさにして比べると,テレコン装着時のほうが良くなります.特にレンズは少し絞り込むと性能が良くなるので,その条件では確実にテレコン装着時のほうが高解像度です.

そして,この3倍テレプラス.これにはまったく驚かされました.海外のサイトで,2倍テレプラスよりもずっと性能がよく,F2.8開放から中心部でも使い物になる画質が報告されています.また国内でもいくつかのブログ等(例えばここここ)で,けっこういける,という報告がありますが,実際にその高い性能を自分でも確認ができました.上のシグマ製のテレコンバーターでは,1.4倍は非常に高性能なのですが,それに比べると2倍は少々,性能がよくなく,色収差が増加する傾向にあります.それに対しこのケンコーの3倍は色収差が少なく,また周辺光量も豊富です(シグマの2倍を装着して,中央部分を切り出したものよりも均一です).色収差が少ないことからオートフォーカスの精度も高く,ちゃんと最良像のところにピントが合ってくれるのもよい印象でした.上記 AF Nikkor 300mm F2.8 に装着して使ってみたのですが,このレンズとの相性が良かったということもあると思います.このレンズは古い設計のため色収差が少し残っていますが,そちらのほうがテレコンバーターの性能よりもずっと問題になるぐらいです.

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900mm F16

上の写真は手持ち 900mm F16 相当で撮影したものを等倍切り出ししたものです.さすがにD800Eの解像度を満足するほどの性能はありませんが,3倍テレコンで900mmと考えるとかなり良い画像です.オリジナルサイズ(7360x4912画素,Adobe Lightroom4 で現像)の画像を以下に載せていますので,良ければ見てみてください.

オリジナルサイズ撮影例はPicasa Web Album

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900mm F16

残念ながらこの高性能なテレコンバーター,オートフォーカス連動用のスクリューが省略されたモデル 3XM も既に製造中止となり,市中在庫のみとなっているようです.ウェブ上を見ても,上で挙げた一部を除きキワモノのような扱いをされていますが,なにせ倍率が大きいだけにマスターレンズの性能が非常に高くないと使い物にならず,不当な評価しか得られなかったのだろうと思います.こういうアイテムを安くで発掘するのはカメラ遊びの楽しみの1つとはいえ,残念な気がします.
posted by しんさく at 22:43| Comment(1) | TrackBack(0) | カメラ