2013年11月04日

マウントアダプターでレンズ再活用 その2

前回に引き続き,ソニーNEX用の変わり種マウントアダプターを紹介します.

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このアダプターは,一眼レフ用レンズマウントである,ニコンFマウントのレンズをソニーNEXに装着するものです.このようなアダプターには,単にレンズをまっすぐ取り付けるものがよく使われていますが,このアダプターはレンズをずらしたり傾けたりすることが出来ます.

例えば,カメラを斜め上から撮影することを考えます.普通のレンズ(Nikkor-O Auto 35mm F2 を使用)で撮影すると次の写真のようになります.

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斜め上から見下ろしているので,カメラが下すぼまりに写ります.ちょうど,ビルを見上げるように写真を撮ると,ビルの先端が地面に近いところよりも小さく写るのと同じです.またカメラが斜めにおいてあるので,カメラ全体にピントが合わず,真ん中辺りしかシャープに写りません.そこで,レンズの向きを変えます.

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普通のカメラでは,レンズはボディに対してまっすぐ(直角に)付いていますが,これの方向を変えます.すると,カメラに対して正面を向いた面でなく,傾いた面に対してピントをあわせることが出来ます(シャインフルークの法則といいます).クリックして拡大すると,カメラの右肩から左肩までピントがあっているのがわかります.普通はもっとレンズの絞りを絞り込んで撮影しますが,今回は分かりやすいように絞りを開いてピントを浅くしています.しかしまだカメラの下すぼまりは残っていますので,今度はレンズをカメラに対して下へ平行にずらします.

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すると今度は下すぼまりの形状が補正され,整った形に撮影することが出来ます.このようなシフト撮影の場合,平行線を完全に垂直にそろえてしまうと,視覚的な錯覚により,かえって逆に上すぼまりのように見えてしまうことがあるので,ほどほど(5割〜7割ほど?)の補正に留めるのが良いようです.またピント面の調整(ティルト・スイング)も,絞り込みでは追いつかないときに補助的に用い,パッと見た目にはティルト・スイングを用いていないように見せるのが一般的だとは思います.また最近は,わざと遠景に対してティルトすることで,風景をミニチュア風に見せる技法(代表的なものに,本城直季氏の作品があります)が流行っているようです.

このような写真を撮影するためのレンズは,キヤノンではTS-Eレンズ,ニコンではPC-Eレンズと呼ばれ,数本ずつ発売されていますが,非常に高価なものです.それに対し,既存のニッコールレンズでティルト・シフト撮影ができるのはお得な感じがします.Fマウントのレンズは普通,フルサイズ用ですが,NEXはAPS判なのでシフトの余地があることや,TS-E/PC-Eレンズにはないズームレンズを使うことが出来るのも面白い点かもしれません.またNEXでは液晶画面を動かすことができることや,ピントが合った位置を拡大したり,強調するピーキング表示などがあるため,ファインダを覗きながらの作業に比べ,楽に,かつ正確に撮影をすることが出来ます.

これまで,レンズをシフトするアダプタと,ティルトするアダプタはそれぞれ別のものとして製造販売されていました.他のティルトアダプタはボールジョイント式になっていますが,レンズを正面向きで固定することが出来ないため,一般撮影にも用いるのには若干不都合があります.その点で,今回のアダプタはティルト・シフトなしの原点に戻すのも容易ですし,ティルトとシフトを同時に行うことも出来るので,少々高価ですがそれだけの価値があるように思います.

ただしこのアダプタの場合,ティルト方向とシフト方向が直交方向に固定されていることと,内部構造のためレンズ後部の金具などがマウント面から8.5mm以上突出しているレンズは装着できないことがありますのでご注意ください.
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マウントアダプターでレンズ再活用 その1

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ソニーのNEX-5を入手しました.このカメラ,大きな撮像素子を搭載している割に薄型で,古今東西のレンズをアダプターを介して取り付けられるという隠れた魅力を持ったカメラですが,そのアダプターに「これは!」というものが出揃ってきたので,いよいよ手を出したというわけです.今回はそのうち,ライカのレンズを取り付けるアダプターを紹介します.

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カメラには今でもよく使われている一眼レフタイプの他に,レンジファインダータイプと呼ばれる距離計を備えたカメラがあります.このタイプのカメラはレンズが小型軽量で,一眼レフよりも前に使われていたことや超高級機が多かったこともあって古くて味わいのあるレンズが揃っています.ただこれらのカメラ・レンズには欠点があって,距離計の計測範囲の関係上,70〜90cmよりも近いものにピントをあわせることが出来ません.そのため,例えば机の上の料理を撮影しようと思ったら少し下がらないといけないし,被写体を大きく写すことも出来ませんでした.しかしこの「レンジファインダー用」のレンズをソニーNEXに取り付けるアダプタに,より近くにピントをあわせることが出来る「補助ヘリコイド内蔵タイプ」が発売されるようになりました.

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上の写真のように,レンズとボディとの間にある黒色のマウントアダプターそのものが約5mm伸縮します.ライカMマウントとソニーEマウントの厚みの差は10mm以下ですが,よくその中にこれだけのものを作りこんだという感じです.ともあれ,これを使うことで,レンズにもよりますが,30〜40cmぐらいまで近寄って撮影することが出来るようになります.

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このマウントアダプターは,ボディのソニーEマウントをライカMマウントに変換するものですが,Mマウントからは他のアダプターを介することでさらに他のカメラ用のレンズをつけることが出来ます.上の写真は,こちらで以前に紹介したベネズエラ製のニコンSマウントアダプターを用い,ニコンS2用のニッコールS 5cm F1.4 レンズを取り付けたところです.このレンズは,開放絞りではシャープでありながらもソフトレンズに匹敵するぐらいの柔らかいハロが現れ,そこから少し絞ると急激にシャープになるという,1本で二度美味しいレンズです.

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しかしソニーNEXに最も似合うレンズというとこのレンズかもしれません.このレンズはミノルタが1981年に発売した,CLEというカメラ用のレンズ,M-ROKKOR 40mm F2で,いわばオールドレンズでも最新レンズでもないセミクラシックとも言えるようなレンズで,隅々までシャープに撮影できます.ミノルタのカメラ事業はその後コニカと合併してコニカミノルタになり,さらにソニーと合流したので,その意味では「準・純正レンズ」といったところでしょうか?

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このミノルタ製レンズを装着した時,上の写真のように実測で30cm弱の距離にピントをあわせることが出来,カメラを画面からはみ出るぐらいの大きさで捉えることが出来ます.

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上の写真は,レンジファインダーニコン用の W-Nikkor 3.5cm F2.5 で撮影したものです.近接時も収差が増加せず,非常にシャープに撮影できることがわかりますが,このような性能はこれまでのカメラでは見ることが出来なかったのだと思うと感慨深いものがあります.
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2013年09月28日

ぶれ追放のために 上級編?

前2回で三脚や一脚と,それへのカメラの固定について紹介しましたが,今回はそこで紹介できなかったちょっとした情報を追加で掲載します.

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1つは,既存のカメラアクセサリを加工してアルカスイス互換にするものです.この部品はベルボンの「スーパープレート」という2代のカメラを三脚に取り付けるものです.現在はマグネシウム製の「スーパーマグプレート」という製品に置き換わっていますが,私のものはその前のアルミ製のものです.本来は三脚穴で三脚に取り付けるものですが,これをグラインダーで削ってアリガタ状に加工し,天体望遠鏡でよく使われるアリミゾと,アルカスイスプレートに取り付けられるようにしています.天体望遠鏡のアリミゾのほうがアルカスイスよりも幅が広いので普通は互換性はありませんが,どちらにもギリギリぐらいの大きさにすることで両方に付くようにしています.天体望遠鏡の架台(モータードライブ赤道儀)には望遠鏡でなく,天体撮影用のカメラを取り付けるのですが,2台同時に撮影できると効率が良いことがあるのでこのような工夫をしています.モータードライブ赤道儀は地球の自転と同じ速さで逆向きに回るように設置するので,ちょうど地球の動きによる「ぶれ」を打ち消しているわけですね.

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前回少し紹介した,アルカスイス・クランプに直接取り付けられるシグマのTS-41という三脚座ですが,この三脚座はメーカが表に掲載しているレンズ以外のシグマ製レンズにも取り付けられるものがあります.写真は1996年〜2000年ごろに販売されていた,シグマの APO TELE MACRO 400mm F5.6 ですが,ちょっときつめになりますがTS-41を取り付けることが出来ます.このレンズは少し古いのですが,非常に良い設計で軸上色収差がほぼ完全にゼロになっていて,金属部品や水面の輝点のまわりに色がつくことがなく,またボケた部分にも色収差による色づきがほぼ全くない,非常に優れたレンズです.TS-41にはストラップが取り付けられるので,カメラのマウントへの負担を軽減することが出来ます.

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重量級のレンズには直接,ストラップが取り付けられるようになっています.ストラップの留め具には金属製のものとプラスティック製のものがありますが,普通はプラスティック製のほうがカメラやレンズに傷が入りにくくお勧めです.しかし重量級の機材では強度が不足するため,どうしても金属製の留め具が付いたストラップを使わざるを得ません.ニコンの場合,超望遠レンズに付いているストラップ金具はカメラ用よりもずっと幅広で,それにぴったりのストラップはニコン LN-1 になりますが,これには金属製の留め具が付いています.このようなときは,熱収縮チューブを使って傷を防止することが出来ます.先にチューブを通しておき,位置を合わせたら,あとはドライヤーで熱することでぴったりの形に収縮させることが出来ます.ストラップの緩み防止ににもなるのでお勧めです.

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つぎもブレとは少し違いますが,超望遠レンズを使うときに便利なアクセサリ,ドットサイト(ダットサイト)を紹介します.これはもともと,エアガンなどのアクセサリとして売られているもので,曲面ハーフミラーを用いることで視野に輝点を重ねて表示するものです.目の位置がズレても輝点の位置がずれることはありませんし,視野も広いので超望遠レンズの狭い画角内に被写体を導入するのに便利です.人によっては飛んでいる鳥など動くものを撮影するときにも使うそうです.

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上の写真のように,サイトを通して被写体を見ると輝点が現れます.この写真では調整が完全ではありませんが,その輝点の位置が画面の中央に来るようにして使います.最近は野鳥撮影などの機材を扱っている店がカメラに取り付けられるような台座をセットにして販売しています.

最後に,シグマの超望遠マクロレンズ APO TELE MACRO 400mm F5.6 で撮影した写真を掲載します.

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Nikon D800E, APO TELE MACRO 400mm F5.6 トリミング
F5.6開放 露光時間 1/250秒(フラッシュ発光) ISO2500
TS-41 + 一脚使用
posted by しんさく at 12:32| Comment(0) | TrackBack(0) | カメラ