その後の10年間に魅力的なカメラが多数出現し、特にニコンからもZシリーズのフルサイズミラーレス一眼が出て充実してきましたが、興味はあるものの、なかなか買い替えには至りませんでした。というのは、たしかに高性能にはなっていますが、それ以上に値段がどんどん上がってきていること。画素数が2400万画素の廉価機も、10年前から安くなるどころかむしろ高くなっている状況で、手が出せずにいました。しかし、どうやらカメラの値段が下がる時代は終わったようです。待っていても思ったような廉価機が出そうにないと思い直し、上の写真のようにシグマの fp L を購入しました。
fp L にしたのはもちろん小型軽量なことが第一で、オールドレンズ用のα7の更新を狙ったものです。小型のフルサイズミラーレスには他にα7Cがありますが、これは画素数がα7と同じで今ひとつ食指が動きません。それに対しfp Lはトップクラスの6100万画素で、値段もこの画素数の機種としては破格に安いことも決め手になりました。
シグマのカメラはソニーやニコン、キヤノン等に比べ少しマニアックという評ですが、使ってみた印象では、普通にちゃんと使えるよくできたカメラだと思いました。もちろん手ぶれ補正機能は内蔵されていませんが、搭載されている機種でもオールドレンズでは焦点距離を1つずつセットする必要があり、フルサイズの感度やオールドレンズの明るさを考えると個人的には必要とは思えません。またフラッシュ同調撮影や動きモノもD800Eで行うため、メカシャッターがないことも許容範囲、むしろ無音で撮れるメリットさえあります。
ただ、ピント合わせには難点がありました。Nikon 1 J5などEVFのないカメラも使っていたので問題ないかと思っていたのですが、やはりオールドレンズで精密にピント合わせするには液晶画面は厳しい。最近、近くのものが見にくくなってきたこともあります。しかし外付けEVFをつけるのも癪だし、純正LCD用ルーペのLVF-11はとてもかさばる上、脱着が面倒そうで今一つです。幸い、手持ちの67判カメラ、ブロニカGS-1のウェストレベルファインダをあてがってみると、液晶画面全体がピッタリと視野に収まったので、3Dプリンタで取り付ける部品を作ってみることにしました。
上は、使用の様子の動画です。シグマ fp / fp L には液晶の周囲に放熱のスリットがあるため、ここを使ってスライド式に脱着できるようにしました。落ちないように最後にクリックでカチッと止まるようになっています。ルーペを出さなければ液晶画面のフードとして使え、ルーペを出せばファインダになります。畳んでポケットに入れておいて、出先で液晶が見にくかったり、ちゃんとピント合わせしたいときはさっと取り付けて使えそうです。また、ファインダ倍率が非常に高いのも美点の1つ。計測してみると、50mmレンズ装着時で1.7倍あまりもあります。そのため視野の画角が28mm相当ぐらいあり、周囲まで見渡すにはキョロキョロと目を動かす必要がありますが、8xの拡大機能とあわせ、ピント合わせは非常に楽になりました。
ついでに、カメラがすっぽり収まるハードケースも自作。通勤や出張のカバンに入れて持ち歩くには、こういうハードケースが一番の保護になります。レンズの大きさやストラップ取り付け位置に合わせて数種類を作り替えて出力しました。
シグマfp Lはオールドレンズを付けたときに周囲の色づきを補正するカラーシェーディング補正という機能もあり、超広角でも問題なく使えるのも良い点でした。ただ、このレンズマウント(Lマウント)は、他社レンズをAFで動かすような電子マウントがあまり発売されていないのが難点です(純正にEFレンズ用はありますが、Fマウント用はない)。パナソニックを始めとして機種が増えてきたので、発売を願うばかりです。また、最近は(高いですが)α7CRや、画素数が少し減りますがα7CIIが登場し、EVF問題やマウントアダプタの豊富さの点ではそちらのほうが良いだろうとも思います。本当をいえば、ニコンからα7Cのような形の小さい機種が出れば、全てをそれに集約できていいのですが・・