2020年07月27日

ディーゼルエンジンを試す

模型用エンジンを調べていると、よく使われているグロー点火方式のエンジンの他に、ディーゼルエンジンがあることがわかりました。大雑把に言うとグロー方式が広く使われているのは日本と北米だけで、ヨーロッパや東側諸国ではディーゼルエンジンが一般的だったようです。ディーゼルエンジンの魅力はなんと言っても、始動時にグローを加熱するバッテリーの接続が不要なこと。ちょっと試してみようと1つ入手してみました。

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ヨーロッパでは今でも模型用エンジンを作っているところがあるようで、例えばイギリスのP.A.W (Progress Aero Works)は様々な仕様・大きさのエンジンを展開しています。0.55cc と小さく、回転数が制御できるバージョンもあり非常に魅力的ですが、ebay では結構高くなることと、燃料タンクや配管に面倒がある(ディーゼル燃料はグロー燃料よりも樹脂を溶かしやすく、材質を選びます)ということで、今回は整備用の工具やマウントなども一通り持っており、扱い慣れてきた Cox のものを購入しました。Cox は北米の会社なのでそもそもはグロー方式のエンジンしかなかったのですが、それをディーゼルに改造するヘッドが開発されており、それを搭載したエンジンが新品で売られています。タンク付きのBebeBeeタイプのエンジンではクランクが折れやすいということですが、その対策部品(強化クランク)も最初から搭載されています。

この手の模型用ディーゼルエンジンはどれも、ヘッドにネジがついています。これは圧縮率を調整するためのもので、模型用ディーゼルエンジンの肝とも言える部品です。自動車用のディーゼルエンジンでは燃焼室内で圧縮された空気に燃料を高圧で噴射して燃焼させますが、模型用ディーゼルエンジンでは混合気を吸入して圧縮添加する、予混合圧縮着火という方式になっています。そのため点火タイミングは圧縮率で変化し、それをコントロールする必要があるわけです。ネジを締め込むと、通常のピストンとは別のヘッド内のピストン(カウンターピストン)が押し下げられて圧縮率が上がる仕組みです。



実際に動かしてみました。Cox によると慣らし運転(ブレークイン)をまず通常のグローヘッド・グロー燃料で行えとあるので、タンク2回分ほどならし運転をし、ヘッドを交換します。圧縮比と空燃比の両方を調整しないとならないので、なかなかうまく回るところが見つけられず少し苦労しましたが、無事始動しました。圧縮比を上げつつ燃料を薄くすると回転が上がりますが、あまり攻めるとオーバーヒートするそうで、程々がいいようですが、同じ排気量ではグロー燃料よりもトルクがあるそうで、より大きなプロペラが好適となるようです。

使ってみた感想は以下の通り。

良い点:

  • 最大のメリットはやはり、グローヘッドを加熱する電池の接続がいらない点でしょう。
  • 端切れのいい音で、低速でもトルクフルで、大きめのプロペラを少し遅めに回すのに向いているようです。


悪い点:

  • よく言われることのようですが、グロー方式よりも始動が難しいです。いいセッティングが見つかったと思っても、同じポジションでまたすぐ始動するかというとそうでもなく、ヘッドが温まっているかどうかによってかなり変わるようです。まだ始動時はかなり圧縮を高めにして燃料も濃くする必要がありますが、周り出すと燃料を薄くして圧縮比を下げる必要があり、よいポジションで固定することも出来ません。
  • 燃料の違いによるものか、かなり匂いがします。グロー方式は燃焼時の匂いが薄いだけでなく、燃料もさほど匂いませんが、ディーゼル用の燃料はかなり匂います。灯油の匂いが主体ですが、他の匂いもあります。また燃焼時の匂いも濃く、エンジン回転中に白い排ガスが見えることもあります。かなり服に臭いが染み付きました。今回はあまり問題になりませんでしたが、燃料タンクや配管の材質にも注意が必要だそうです。
  • 燃料の粘度が高く、また油が拭きづらいです。グロー燃料はサラサラで、いかにもアルコール主体という感じで拭き取れば油もかなり取れますが、ディーゼル燃料のオイルは自動車用(2スト含む)のオイルのようで、石鹸で手洗いするときも2回ぐらいはしっかり洗わないとヌルヌルがとれません。もちろん模型や周囲の機器の油汚れもかなり落ちにくいです。個人的にはこれが一番きつい気がします。


そういうことで、電池がいらないのはいいのですが、始動にかかる手間が少ないわけでもなく、取り扱いの面倒さ、燃料の価格なども考えると、ちょっと移行するには難しいという感じでした。とはいえ使い慣れたわけでもありませんので、もうちょっと試して見る必要があるかもしれません。また 0.8cc でなく、もっと大きいエンジンなら安定しており始動も楽かもしれません。

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実はもう1つ、こんなエンジンも入手しています。なんとこのエンジン、カメラやレンズで有名なドイツ・カールツァイス(第二次大戦後、東側になったカールツァイス・イエナ)が1960年頃に製造していたエンジンで、1cc のものです。できたらこれも動かしてみたいところですが、手で回してみた感じからすると気密が下がっているようで、これでは圧縮着火は難しいかもしれません。タンクを繋がないまでも、プライミングで初爆ぐらいは確認したいところですが・・
posted by しんさく at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | ラジコン

2020年07月21日

3Dプリントの軽量化

ホバークラフト本体やエンジンマウントは3Dプリンタで作成しています。現在の出力でも、049エンジン(0.8cc)はもちろん 020 エンジン(0.3cc)でも浮上して走行します。しかし後者ではあまり余裕がありませんし、今後、ラジコン飛行機などに進出したときのため?軽量化について研究してみました。

光造形方式の3Dプリンタではデータ通りに中身が詰まった物体が出力されますが、FDM方式ではスライサーで内部を肉抜きするのが一般的です。そうしなければ材料代がかかるだけでなく、1本1本描いていく都合上、出力時間も膨大になります。また、ノズルから押し出されるマテリアルの量にも誤差があり、もし出力物の体積よりも多めに出力されると、いずれはどこかで余りが生じてはみ出すはずですので、そもそも中身が詰まった物体の出力には適さないわけです。そのかわり優れたスライサーが出揃っていて、肉抜きした内部に格子状の構造物(インフィル)を造形してくれますので、軽量でありながらもそれなりに強度のある物体が出力できるというメリットもあります。

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ホバークラフトや飛行機のボディのように軽さを追求する場合、スライサーの設定で各部のマテリアル量を削減します。インフィルの密度を下げるのはもちろんですが、表面の層を少なくすることも重要で、できれば1層にしたいところ。しかし1層では設定が悪いと層間に裂け目ができたり強度が落ちたりします。いろいろと試しましたが、結局、一番の解決策は「ヘッドの速度を落とすこと」でした。ヘッドの速度を落とすとフィラメントの繰り出し速度もその分下がるので、ホットエンドの熱が十分に伝わり、造形品質が上がるようです。特にインフィルと表面の接続部はT字型になっており、ここの接続強度が落ちたり、その周囲で裂け目ができたりしがちですが、それを防ぐのに効果があります。造形時間がその分かかるのに抵抗感がありますが、層数を減らしているので相殺され、結果的には軽さと強度を両立させるのには一番のように思われました。上の写真はいずれも左が標準の50mm/sec, 右が半分の 25mm/sec で、マテリアルはPETGですが、内外ともに裂け目がなく、インフィルとの継ぎ目も目立たない良好な造形結果が得られました。

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得られた設定で出力してみました。最初の筐体は付属のPLAで、2層の出力でしたので335gほどありました。今回はPETGで1層にしたところ、少しリブ等を増やしたにもかかわらず、重さは約2/3に軽量化出来ました。手に持つと明らかに軽いことがわかる一方で、薄い部分は少し弾力を感じる部分があります。PETGのほうがPLAよりも柔らかいこともありますが、PLAでは走行時にぶつかったところが欠けたりしていましたので、それに比べると割れにくくなっているのではないかとは思います。

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ホバークラフトの筐体は1個のSTLファイルとして造形し、それをスライサーソフトの Ultimaker Cura で、向きを変えて2回出力することで全体を出力しています。長さは約360mmあるので収まらないこともありますが、それ以上に、いかにサポートを設けずに出力するかということがポイントになります。この筐体では先端と後端が斜めになっていて、オーバーハング部分もサポートなしでそれなりに出力できる形状になっています(といっても少しワイヤー状の未接合部分は生じます)。あらかじめ、前後の結合強度を高めるための穴も設けてあるので、4本の竹の棒(コンビニでくれる弁当の箸、直径5.5mm)とタイラップでしっかり固定できます。出力設定の画像も載せておきます。1層、速度25mm/sec で、インフィルは6%の設定です。予測では 154g と出ていますが、実際にはそれより結構軽くなりました(原因は不明)。
posted by しんさく at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ラジコン

2020年07月12日

ホバークラフトを作ろう(11)初号機の課題

エンジンや舵のマウントだけでなく、本体も3Dプリンタで作ったホバークラフト。意気揚々と?試運転してきましたが、散々でした。課題山積です。



試運転動画です。実はエンジンがかかるまでに10分ほど難儀してしまいました。今回、エンジンを横倒しにしたのですが、そのために燃料ニードルの設定変更が必要になったようで、以前の設定では燃料がジャブジャブに。1回転以上閉じたところでちょうどでした。燃料を入れるパイプが横向きになることもあって燃料の入る量が少なく、また遠心力がかかると漏れ出るようで、走行可能時間も短くなり、結局、エンジン部分は横倒しでもタンク部分は元の姿勢がいいということがわかりました。しかし現在のボディは020エンジンを前提にした高さになっているので、049エンジンは今のままでは正立姿勢では取り付けできません。検討が必要です。

そして一番問題になったのが操縦性。曲がろうと舵を切っても、ホバークラフトがスピンするだけでほとんど曲がってくれません。全体に重さが増したためにヨーモーメントが増えたこともありますが、どうも重心が後ろすぎることも問題のようです。走行時の風圧を受ける中心が重心よりも前にあるので、ボディが進行方向に対して少し横に向くと、さらにどんどん曲がる方向に回ってしまいます。內部の構造の都合でエンジンの真下に受信機・サーボのバッテリーを積んでいるのですが、これをもっと前に積まないとならないようです。さらには、方向舵だけでなく、飛行機の垂直尾翼のような安定性を増すための固定翼も付ける必要があるかもしれません。要するにボディはある程度、自然に進行方向を向くような特性がないと、とても操縦できない感じです。

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そしてもう1つ、伏兵とも言える問題がこの受信機用のバッテリーです。ラジコンの受信機には5〜7V程度の電池を繋ぐ必要がありますが、ラジコン専用のバッテリーは割高なだけでなく充電器も特殊で、電池側には過充電等から保護する機能もついていません。管理が面倒なので、スマートフォン用のモバイルバッテリーの中から小型軽量のものを探して、先にラジコンの端子を付けて使っていました。これでこれまで問題なかったのですが、今回サーボを2つに増やしたところ電流または電圧が不足するようで、すぐに電源が落ちてコントロール不能になってしまいます。やむなく今回はスロットルのサーボを外して走らせたので、せっかく作ったスロットル制御は活用できませんでした。

049エンジンはちょっとパワーがありすぎるので、小さい方の020エンジンでも試してみたのですが(動画を撮り忘れました)、こちらはこちらで問題あり。同様に重心が後ろすぎることもありますが、ホバークラフト本体の重さが増加したためにアスファルト路面ではいまひとつスムーズに走りません。前述のモバイルバッテリーと受信機(7g)を外して走らせたらスムーズだったので,このたった70g少々が分水嶺のようです。実際、
こちらで紹介した Excel での計算でも最大荷重は620g、それに対して現在の自重が500gでほとんど余裕がないですし、前の筐体よりも外寸が小さくなったので最大荷重はさらに小さくなっているはず。奇しくも計算がほぼ正確であることがわかったわけですが、いずれにしてもなんとかしなくてはなりません。よく似たエンジンとはいえ、排気量が2.5倍も違うという事実を目の当たりにしました。もう少し軽くなるように本体を作り直してもいいですが、いずれにしても安定な制御ができるよう、軽い電池を調達することにしました。あわせて、電池をもっと前方に取り付けられるようにして、重心の問題も改善することにします。続く。
posted by しんさく at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | ラジコン