年末恒例の京都の写真展 How are you, PHOTOGRAPHY? 展が25日に終了し,撤収してきました.寸前のトラブル判明で日程が1週間後ろにずれたにもかかわらず,多くの方々に見に来ていただきました.年の瀬のお忙しい中,ありがとうございました.
展示した写真は次のような6点でした.
詳細は,ウェブフォトギャラリー "photogradation" の こちら から,大きな画像でも御覧いただけますので,ご興味があれば覗いてみてください.また,こちら には,一部の写真について同じネガから直接取り込んだ,絵画風のプリント処理をしていない写真がありますので,見比べて見られるのも面白いかもしれません.
さて,この写真.私は以前から絵画調のプリントを作っていますが,今回は特に鉛筆画のような斜めのテクスチャが入っています.これをご覧になって,「どうやっているのですか?」と尋ねてくださった方も多くありました.写真に詳しい方は,デジタルだろうとか,いや銀塩プリントとあるから現像液を筆で塗って現像してるんでしょう,などの予想もいただきました.私が聞いた中では正解はなかったのですが,わざわざ秘密にするほどでもないのでこちらで紹介することにします.
この写真をプリントするには,以下のようなマスクを使いました.
このマスク,カッターと手作業で,黒い紙に切れ目を入れ,それを厚紙の台紙に取り付けたものです.制作に数時間はかかったと思いますが,なるだけ不規則になるように,あらかじめ切り取り線を書くようなことをせずに切りだしています.そして,引き伸ばし機でネガの像を印画紙へ投影するときに,印画紙の上にこのマスクを置いておきます.そうすると穴の中だけ光が当たり,そこが現像すると黒く色づくことになります.マスクで遮られたところは白いまま残ります.
このままですと,このマスクの穴の形がもろに現れてしまうので,何度も露光します.今回の場合,2分の露光の間に5秒ずつマスクを固定し,5秒ごとにマスクを少しずらすという形で露光しました.そしてその後,マスクを揺らしながらさらに1分露光しています.後半の処理をしなかったり,マスクをずらす回数を減らすと斜めのテクスチャが強く出るようになるので,調整の余地がありますが,最初にこの露光でだいたい気に入った感じになったのであまりテストをせずに6点全てを引き伸ばししてしまいました.マスクをずらすときに印画紙が一緒にずれてしまわないよう,イーゼル等でしっかり固定する必要があるのと,引き伸ばし機からはマスクの穴の開いたエリアよりも余裕を持って大きくネガ像を投影することに気をつければあまり難しいことはありません.
絵画風に仕上げるには,絵柄や焼き方も重要で,印画紙の号数(マルチグレードを使っているので,フィルタの号数)はかなり硬めにするほうがよいようです.また絵柄としては,風車の写真のように背景が白く抜けているものや,逆に右下の写真のように,絵柄の周囲が黒く囲われたようになったものは絵画っぽくなりやすいようです.
さて来年はどうしようか..ちょっと被写体の方向を変えてみようかな,などと思っているところです.
2011年12月27日
2011年12月18日
How展,搬入
年末の京都恒例の写真展,"How are you, Photography?" 展が始まっています.そして今日,私も自分の写真の搬入展示をしてきました.
この写真展での展示,もともとの案内では12月13日〜18日,つまりちょうど1週間前に展示が行われ,今日は搬出の予定でした.その予定でしたが..なんと,展示の1週間前になって主催者からの突然の日程変更の連絡.「ギャラリーの予約が間違っていて展示が1週間先になる」..とのこと.もう,DMなどで案内をあちこちに送った後というのに,.他にも展示される友人の方から,信じられないといった風な連絡もありましたが,しかたありません.何度も案内を繰り返すようで心苦しいながらも,電子メールなどで開催日変更の連絡などをしました.
そして,今日は関西の写真仲間と忘年会の予定でした.昨年は写真の搬出日に合わせて,写真を壁から外してから飲みに行ったので,今年もその予定だったのですが,急遽スケジュールが変更に.搬入は搬出時間より後になるので,その後というと宴会をする時間はありません.集まった5人のうち,3人は同じギャラリーでの展示でしたので,ちょっと早いながらも夕方の5時から忘年会をすることにしていただき,美味しい食事と飲み放題で,搬入の時にはすっかり出来上がっていました..まあ今年は事情が事情ですから,これぐらいはいいんじゃないかなということで..
ということで,6点の写真を貼り付けてきました.今回は,そのうち1点だけこちらで先行公開.以下のような写真です.
以前にも書いたように,最近は絵画調の写真制作を続けていますが,今回は新しい技法を開発して取り入れました.今回の搬入の途中にも,他の作家さんなどから「これはデジタル処理ですか?」などと尋ねられましたが,さにあらず.暗室で引き伸ばし機を使い,光学的技法だけで作ったものです.他のもそれぞれに鉛筆画の挿絵のような,しかしよくみると手書きでは不可能なほど細密な写真らしい写真になっていますので,是非機会がありましたらオリジナルを御覧ください.
ということで,今度こそ本当に,12月20〜25日の間,同時代ギャラリーにて展示をしています.案内はこちら.ギャラリー内では,奥の小部屋に展示をしていますので,ちょっと見つけにくいかもしれませんが,もし京都へおいでの機会がありましたら是非御覧ください!
この写真展での展示,もともとの案内では12月13日〜18日,つまりちょうど1週間前に展示が行われ,今日は搬出の予定でした.その予定でしたが..なんと,展示の1週間前になって主催者からの突然の日程変更の連絡.「ギャラリーの予約が間違っていて展示が1週間先になる」..とのこと.もう,DMなどで案内をあちこちに送った後というのに,.他にも展示される友人の方から,信じられないといった風な連絡もありましたが,しかたありません.何度も案内を繰り返すようで心苦しいながらも,電子メールなどで開催日変更の連絡などをしました.
そして,今日は関西の写真仲間と忘年会の予定でした.昨年は写真の搬出日に合わせて,写真を壁から外してから飲みに行ったので,今年もその予定だったのですが,急遽スケジュールが変更に.搬入は搬出時間より後になるので,その後というと宴会をする時間はありません.集まった5人のうち,3人は同じギャラリーでの展示でしたので,ちょっと早いながらも夕方の5時から忘年会をすることにしていただき,美味しい食事と飲み放題で,搬入の時にはすっかり出来上がっていました..まあ今年は事情が事情ですから,これぐらいはいいんじゃないかなということで..
ということで,6点の写真を貼り付けてきました.今回は,そのうち1点だけこちらで先行公開.以下のような写真です.
以前にも書いたように,最近は絵画調の写真制作を続けていますが,今回は新しい技法を開発して取り入れました.今回の搬入の途中にも,他の作家さんなどから「これはデジタル処理ですか?」などと尋ねられましたが,さにあらず.暗室で引き伸ばし機を使い,光学的技法だけで作ったものです.他のもそれぞれに鉛筆画の挿絵のような,しかしよくみると手書きでは不可能なほど細密な写真らしい写真になっていますので,是非機会がありましたらオリジナルを御覧ください.
ということで,今度こそ本当に,12月20〜25日の間,同時代ギャラリーにて展示をしています.案内はこちら.ギャラリー内では,奥の小部屋に展示をしていますので,ちょっと見つけにくいかもしれませんが,もし京都へおいでの機会がありましたら是非御覧ください!
2011年11月20日
写真展のご案内
年末も近づき,今年も How are you, PHOTOGRAPHY? 展の季節がやって来ました.
最近は年に2度,大阪と京都の写真展に出展していたのですが,大阪は平日の搬入・搬出が多く,ギャラリーを選択することが出来ない(スケジュールが抽選結果で変わってしまう)ということもあり,今年からは京都のこの写真展一本に絞って展示をしています.今年も昨年と同じ「同時代ギャラリー」で,12月13日〜18日12月20日〜25日(変更になりました)に展示を行います.詳しい日時や場所は,上の写真展HPか,こちらを御覧ください.下の写真のように,ポスターや案内状も届きましたので,今週,近場の方々に勝手に送り付けるかと思いますが,もしお近くに来られることがありましたら,いかがでしょう?・・ぐらいですのであしからず..
さて,展示が迫ってきましたので制作をせねばなりません.そこで悩みが1つ.このブログでも何回かご紹介しているように,これまでの写真展では絵画調のプリントを指向して制作をしてきました.プリントの技法や写真の内容もさることながら,この絵画調の雰囲気に大きな役割を果たしていたのが印画紙です.チェコのFOMAというメーカのとある印画紙が,画用紙のような風合いを持っていて,また中間調が出にくく黒が潰れやすいために,その特性を利用して絵画調にしていました.しかし,この印画紙が製造中止..型番の末尾に "II" の付いた後継型を購入したのですが,ザラッとしていながらもつやがあり,ぜんぜん風合いが違ってしまっています.これは困った..と頭を抱えていました.
そこで前回の写真展が終わってから,漠然と,しかし常に新技法について考えてきました.夏ごろまでにいくつかのアイディアを練っていたのですが,効果の強さや制作に必要な時間など,いろいろ難しいものもあり,最終的に1つのアイディアに収束.それは,上の写真にあるような自作の道具を使った方法なのですが,あまりネタバレも展示を見に来られる方に失礼なので一応モザイクを..あとから解除します.プリントの時間よりも,この道具制作のほうに労力や時間が掛かっているかもしれません.
そして,この写真は,「ボツ」になったプリントの一部を拡大したものです.普通の写真とはかなり違うので,「これはデジタル処理ですよね?」と言われそう..いえいえ,「画素」も「データ容量」もない,まったく化学と光学だけでできた写真です.これとは違う6枚の写真を展示予定.展示が終わったら,プリントの写真をオンライン写真ギャラリー "photogradation"にも掲載しますが,やはりプリントはオリジナルが一番ですので,ぜひ機会があればご覧いただけると嬉しいです.
この写真展は,京都市内の6箇所のギャラリーで,100人近くの写真愛好家が幅1.5m ずつぐらいを使って思い思いの作品展示をします.綺麗な写真,癒される写真だけでなく,驚くような写真や目を背けたくなるほどメッセージ性の強いものなど,いろんな写真が雑多に並ぶ面白いものです.写真に興味が有る方は,きっと良い刺激になると思いますので,ぜひ他の会場の写真もご覧ください.
最近は年に2度,大阪と京都の写真展に出展していたのですが,大阪は平日の搬入・搬出が多く,ギャラリーを選択することが出来ない(スケジュールが抽選結果で変わってしまう)ということもあり,今年からは京都のこの写真展一本に絞って展示をしています.今年も昨年と同じ「同時代ギャラリー」で,
さて,展示が迫ってきましたので制作をせねばなりません.そこで悩みが1つ.このブログでも何回かご紹介しているように,これまでの写真展では絵画調のプリントを指向して制作をしてきました.プリントの技法や写真の内容もさることながら,この絵画調の雰囲気に大きな役割を果たしていたのが印画紙です.チェコのFOMAというメーカのとある印画紙が,画用紙のような風合いを持っていて,また中間調が出にくく黒が潰れやすいために,その特性を利用して絵画調にしていました.しかし,この印画紙が製造中止..型番の末尾に "II" の付いた後継型を購入したのですが,ザラッとしていながらもつやがあり,ぜんぜん風合いが違ってしまっています.これは困った..と頭を抱えていました.
そこで前回の写真展が終わってから,漠然と,しかし常に新技法について考えてきました.夏ごろまでにいくつかのアイディアを練っていたのですが,効果の強さや制作に必要な時間など,いろいろ難しいものもあり,最終的に1つのアイディアに収束.それは,上の写真にあるような自作の道具を使った方法なのですが,あまりネタバレも展示を見に来られる方に失礼なので一応モザイクを..あとから解除します.プリントの時間よりも,この道具制作のほうに労力や時間が掛かっているかもしれません.
そして,この写真は,「ボツ」になったプリントの一部を拡大したものです.普通の写真とはかなり違うので,「これはデジタル処理ですよね?」と言われそう..いえいえ,「画素」も「データ容量」もない,まったく化学と光学だけでできた写真です.これとは違う6枚の写真を展示予定.展示が終わったら,プリントの写真をオンライン写真ギャラリー "photogradation"にも掲載しますが,やはりプリントはオリジナルが一番ですので,ぜひ機会があればご覧いただけると嬉しいです.
この写真展は,京都市内の6箇所のギャラリーで,100人近くの写真愛好家が幅1.5m ずつぐらいを使って思い思いの作品展示をします.綺麗な写真,癒される写真だけでなく,驚くような写真や目を背けたくなるほどメッセージ性の強いものなど,いろんな写真が雑多に並ぶ面白いものです.写真に興味が有る方は,きっと良い刺激になると思いますので,ぜひ他の会場の写真もご覧ください.