ある日トランクを開けて荷物を出していると,その前の幌のカバー(コンバーチブルトップ コンパートメント リッド)の部分にゴミが溜まっています.少し幌を開けてカバーを上げ掃除したのですが,その日仕事を終えて帰ろうとすると「幌が完全に閉まっていない」旨のエラーメッセージがメーターパネル内に表示されました.電動で少し幌を開けてから閉めなおそう・・としたところ,エラーで停止.中途半端なところから開きも閉じもしなくなってしまいました.深夜で真っ暗だったためその場での作業は諦め,低速で帰宅.幸い,上の写真のようにマンション下の駐車場のため雨の心配はありません.
翌日ディーラーへ持ち込み,見てもらいました.診断の結果,幌を駆動する左右のギアボックスの寿命とのこと.上の写真のように幌が収まる部分の左右にギアボックスが入っており,モーターからの動力を減速して幌を動かしているのですが,そのギアボックス内のギアが欠けるようです.しかしこのギアボックス,調べてみると結構複雑な構造をしており,部品代だけで左右で30万円,工賃を含めると40万円ぐらいかかるということで,まずはとりあえず閉じるようにしてもらいました.右のギアボックスは既に内部のギアが欠けているのかフリーで回転し,左のギアボックスは固着しているので,固定しているネジ(上の赤丸)を緩めて自由に動くようにしてもらいました.
どうやらこれで手動で開閉出来るようになりましたが,問題は幌を押さえるカバーの部分です.通常はモーターの力で下向きに引っ張って閉じているのですが,上記のようにギアボックスをフリーにしてしまうと,しっかり固定されず上下してしまいます.このカバーは固定しておいたほうがいい,・・というディーラーのアドバイスに従ってまずはワイヤで固定しておき,次の週末に工具類の揃った自宅に単身赴任先から戻り,固定方法を変えることにしました.
動かしたり覗いたりしながらいろいろ検討した結果,リアトランクのリッドでカバーを抑え込むのが良さそうです.幸いなことにトランクリッドは開くと少し後退するのでカバーとの間に隙間ができますし,閉じる瞬間は真下に降りるように動くので,カバーに少し出っ張りをつければよさそう.車体に加工をせずに済む方法ということで,さきほど針金を巻き付けていたストライカー(位置決めピン)に,上のような部品を作って共締めしました.
金具を装着した様子です.リアトランクに必要以上の負担をかけないように,高さや向きを調整する必要があります.写真のように蓋の厚みの下面に沿うように調整すると良いようです.
さて,どんな使い勝手になるか・・は上の動画を御覧ください.車外に出る必要はありますが開閉は簡単だし,エンジンを切っていても開閉ができます.他のブログではボンネットピンでカバーを固定している例が紹介されていますが,今回の方法は見た目としても,使い勝手としてもうまく出来たと自画自賛しています.
ついでに,開けても勝手に下ってくるフロントトランクフードのガスダンパーを交換しました.インターネットで検索すると社外品が安くで売られているのが見つかります.2本で7,000円,交換も比較的簡単です.
ボクスターのうち,986型と987型は幌を開閉する機構の構造がほぼ同じようなので,おそらく986型でも同じ方法が使えるのではないかと思います.ただし幌が締まりきった状態かどうかを調べるスイッチの位置は年式によって違います(当方の987型は左側のギアボックス内にスイッチがありますが,986ではリッド後端についていたりするようです).このスイッチが適切な状態でなければ,サイドウィンドウが閉じられなくなったり,メーターパネルに警告が表示されたりするので注意してください.また981型以降は幌をフロントウィンドウ上端に固定する部分も電動化されているので,手動化は難しいのではないかと思います.