前回車検で指摘されたフロントブレーキパッド・ローターの摩耗と、リアダンパーの抜け。ディーラー整備だとパーツ代だけでかなりの値段になるので、この機会に社外品を使うことにしました。
まずブレーキですが、ヨーロッパ車のブレーキはとてもブレーキダストが多く、きれいにしてもあっという間にホイールが真っ黒になってしまいます。それに辟易していたので、今回、超低ダストと謳われている breni DFP超低ダストブレーキパッドを使うことにしました。今回指摘されたフロントだけでなくリアもローターにはかなりの段差が出来ていましたので(パッドは残っていましたが)、一気に前後ともローター・パッドを全交換することに。部品代はローター・パッドと摩耗センサを4輪分で 95,000円ほど。純正部品だとフロントを交換するのにも足りない額です。
次にサスペンションですが、ネットで色々調べ、かなり安価である割に評判がいい XYZ の車高調キット Type-SS を入れることにしました。987 はケイマン用となっていますがボクスターにも問題なく装着できます。上の写真ではそのままサスがダンボール箱に入っているように見えますが、実際には緩衝材が入って届きます。この手のサスキットではブレーキホースなどを汎用のプレートで固定したりすることが多いのですが、この 987 用のキット SS-PO06 では、ボトムケースにブレーキホースを固定する板がついていますので、純正同様に固定ができます。価格も4輪分、バネやアッパーマウント込みで約15万円、純正部品では2輪分にもなりません。
装着について。これまでいくつかの車両でサス交換をやった経験があり、特に今回はバネ・ダンパーセットなのでスプリングコンプレッサーを使う必要もなく簡単なはずですが、ネットで調べると結構大掛かりなようですし、ボクスターはリフトアップも少し面倒(フロントまたはリアを左右一気にリフトアップするためのジャッキアップポイントがない)ということがあります。そこでまずはプロに依頼しようということで、自宅の近くでポルシェの整備を得意にしているお店に持ち込みました。お店にはナローや 930 型だけでなく 968 などの、ポルシェ専門店でも扱いたがらない車両も入庫しており、安心感のあるお店です。
セッティングとしては、ゼロタッチ、すなわち伸び切った状態でバネの遊びがちょうどなくなるように設定した上で、(全長調整式なので)ボトムケース側で車高を合わせてもらいました。ダウン量は純正状態から -20mm 。なぜかというと、あまり下げすぎて品がなくなるのも好きでなく、ぱっと見で純正に見えつつちょっといい感じ、ぐらいが好きなこと。それと、インナーガレージの出入り口に斜面があり、そこで腹を擦らないようにということもありました。写真はそのセッティングが完了した状態ですが、バネの下端とボトムケースの間にはまだまだ隙間があるので、落とそうと思ったらまだまだ落ちます。
車両引取後、早速、自宅の車庫に入れてみます。結果として写真のように 1cm ぐらいのクリアランスで問題なしでした。(自分の這いつくばっている格好が移っていたのでモザイクを掛けました、笑)
サス交換をする前に撮っていた写真と比べるために、同じ場所へいき、できるだけ同じアングルで写真を撮ってみました。上が交換前、下が交換後です。外観的には、見比べないとわからない程度・・というか、下がっている方だけを見ると普通に見えますが、(標準ではちょっとタイヤとフェンダーの隙間が大きいこともあって)一旦下がった状態(下)を見てから純正状態(上)を見ると違和感を感じるぐらいになっています。
走らせた感じでは、やはり標準のサスよりもバネレートがはっきりと上がっていることが感じられます。カーブでもほとんどロールを感じず、いかにもスポーツカーという動きになりました。ただし路面のうねりに素直に追従してゆすられる感じはかなり出てきます。乗り心地は、私としては納得できる範囲ですし、もちろん、前の抜けきったサスに比べれば非常に良いです。車に興味のない助手席の人はちょっと乗り心地悪いなあと感じるでしょうが・・・ダンパーよりもバネレートそのものの違いが効いていると思います。
ダンパーのセッティングですが、ちょうど中間(30クリックのうち15クリック)ではすこし減衰力が足りないように感じられたので、フロントを5段階、リアを7段階ほど強めたら、滑らかな路面では姿勢変化がかなり抑制され、いい感じになりました。しかし、今度は非常にスパルタンな乗り心地に。長距離の通勤での荒れた路面では腰に来そうです。そこで今度はかなり緩めてみたら、姿勢変化は大きくなりますが快適性は大きく向上しました。やはりシチュエーションで変えるのが良さそうで、通勤は最弱に近いセッティング、先日体験したオートテストやジムカーナでは強めのセッティングが良さそう。
ブレーキの制動力やフィーリングにも違和感はありません。むしろ踏み始めの初期制動の立ち上がりが素早くて、個人的にはより好印象になりました。
ピロボール式なので音がどうなのか、は気になるところだと思います。市販車の標準のサスはタイヤやサスペンションからの音を遮断することを最優先に設計されており、サスのアッパーマウントなど各部にゴムが使われています。それがありませんので、1つには路面を転がるタイヤの音が大きくなります。体感では、音質も含め、少し風切り音が強くなったかな、という感じになります。それと、路面の凹凸でサスペンションが大きく動いたときに少しギシギシと音がすることがあります。ピロボール式の宿命ですのでここは納得しておく必要があると思います。いまのところゴトゴト音はしません。バネの上端・下端のスプリングシート部分にチェーンルブを吹いてみたらギシギシ音もしなくなったので、しばらくこれで様子を見てみます。
最後に総合的なコストの比較です。ブレーキと足回りに工賃込みで40万円近くかかり、総合的には60万円を要しました。ディーラーの車検見積もりから10万円しか安くなっていませんし、省いた項目もありますが、一番の違いはダンパー・ブレーキともに4輪とも処置したことです。整備店からは、やはりリアダンパーだけでなくフロントダンパーも抜けていたという話も聞き(体感でもそういう感じでしたが)、全体としてはうまくコスト圧縮できたと思います。
あとは低ダストのパッドの効果がどれぐらいあるか。今回頑張ってかなりホイールを綺麗にしたので、またしばらくしたらレポートできると思います。
2019.6.23 追記:サスとブレーキ交換後、約20日、1500kmほど走りました。サスは初期の渋さが取れてきてよく動いている感じで快適性が上がっています。特に気になる異音も出ていません。
ブレーキの交換によるホイールの汚れですが、効果大です。1500kmも走れば、前はかなり真っ黒になっていたと思うのですが、交換後はあまり汚れていません。ただし(頑張ってホイールをきれいにしたつもりでしたが)ホイールの裏側の汚れが雨などで濡れたときに流れてきたと思しき汚れがあります。あたりがついてきてからはまた汚れ方も違うので、また今日、今度は裏側まで頑張って洗っておきました。また1〜2ヶ月後にレポートしますが、いまのところの感触では「効果大」です。ブレーキのフィーリングも結構良いです。