ボクスターは15年18万キロとなっていますが、車検も難なく通り、快調に走っています。ただ樹脂類の劣化は徐々に進んでおり、前はドアノブのヒンジが折れましたが、コンドはパワーウィンドウスイッチが陥没したので修理しました。
運転席側ドア内張りの裏側です。スピーカーのうちウーファーはドア側についており、ドア内張りには中域を担当するスコーカーのみがついています。その右上がパワーウィンドウスイッチのユニットですが、これが操作すると陥没するようになってしまいましたので修理します。
パワーウィンドウスイッチ取り付け部分の拡大写真です。赤線で記入した部分が折れてしまい、パワーウィンドウスイッチの下側のフックがかからなくなり陥没するようになりました。いかにも肉厚が薄く、さすがにこれでは折れても仕方がない・・と思いますが、まあポルシェはちょくちょくこういう部分があります。
陥没した時の状態です。上側はフックが引っかかっているのですが、下側が回転するように陥没してしまいますので、ここだけ止めればOKです。
ガラクタ箱の中からちょうど良さそうな金属片を見つけました。それを少し加工してからはめ込みます。ドア内張りの素材の切替部分に重ね代があり、そこにひっかけるとちょうどいい感じで固定できました。結束バンドで抑えるようにしたので、外すときは結束バンドを切ればOKです。ドア内張りは薄いので、裏側からビスなどで止めると表に突き出るおそれがありますが、そういう危険もなくうまく付きました。元通りドア内張りを取り付け直して完了です。
2023年04月29日
2020年08月21日
ボクスターのドアノブのぐらつき タダで直せます
毎日の猛暑で、テレビでは危険なので外出を控えろと繰り返されています。そんな中、通勤先に到着して車から出ようとすると、内側のドアノブ(ドアを開くときに引っ張る銀色の部分)の感触に違和感があり、手を離しても元の位置に完全には戻らず、グラグラになりました。中で何かが折れたのだろうと、ネットで検索すると案の定。このころのボクスターやケイマン、911(987, 997)では定番の故障らしく、多数の情報が見つかります。ドアノブを引き込むバネを支えるプラスティックパーツが折れてしまうようです。さすが、ポルシェは徹底的に軽量化を図っているということですね笑(笑 の意味は後述)。
そこでドア内張りを剥がしてみると案の定、フックの部分が壊れています。ただしネットでよく見るのはバネの押さえが折れるケース。それに対し、うちの場合はなんと回転軸そのものが折れていました(赤の両矢印)。さらに根元にもクラックがあります(青の矢印)。ともあれ、この折れる方の右のパーツは稚拙な設計で、頑丈な左のパーツと同じ人が設計したとはとても思えない、CADの初心者が設計したような形状をしています。
さて、このパーツを取り出すため、ドア内張りを剥がすだけでも一苦労です。ですので、普通は部品を手配してから作業すべきところですが、なぜその日のうちにすぐバラしたのか。それはなんと、このボクスター、「こういうこともあろうかと」予備の部品を最初から搭載しており、交換部品がなくても修理できるのです。さすがポルシェ!・・青矢印の指した部品をよく見てください。この部品、左右対称になっています。なんと左右のドア2個分を1つの金型で済ませるために、左右対称にすることで部品を共通化してあるのです。(ただし、上の写真に写っている2つのパーツとバネが組み立てられた状態で左右それぞれに1つの部品番号が与えられていて、バラバラには買えないので、在庫削減効果はありません)。つまり、反対側に出っ張った軸やバネ受けなどの突起は全くの無駄・・・いや、予備部品としてこれから使うので文句は言えませんね。
これをみて「ああ、いつものポルシェのやり口だな」と思った人はポルシェに詳しい人だと思います。ポルシェは水冷化の時期(つまり986 型のボクスターと996型の911の時代)から、やたらと部品共通化によるコストダウンを図っているのです。例えば大物ではエンジンのシリンダーヘッド周りが左右バンクで共通になっています。ヘッドブロックそのものは部品番号としては別になっていますが、ほぼ同形状で、これは金型が共通で機械加工が異なるためのようです。なおヘッドカバーやカムホルダー・ヘッドガスケットなどは左右が部品番号からして共通です。このために左右バンクでカムチェーンが前後に分かれており、それを駆動するために悪名高きインターミディエイトシャフトが必要になっているのですが・・またサスペンション周りでも、当初はハブキャリアがフロントとリアで共通部品(前後逆に配置、つまり対角線方向に共通)だったり、ロアアームに至っては前後左右4つが共通でした(これも時期によって設計変更され別部品になっているものもあります)。そもそも、値段が倍ほども違うボクスターと911で、前席から前はかなりの割合で部品が共通であることはよく知られており、大衆車に比べ少量生産であるハンディをできるだけ克服しようとした形跡が多く見られます。そのため、必ずしも軽量化が最優先にされているわけではないのです。まあ、これらのコストダウンの成果により、アルミ製のサスペンションアームなど、高価な素材が使用できている側面はあります。
ともあれ、長くなりましたが、修理は簡単です。左右のドアノブのヒンジを取り出し、この折れたパーツを左右で入れ替えるだけです。もっとも、この部品は3,000円程度だそうで、左右の内張りを両方とも剥がすのも面倒なので、部品を買ってしまうほうが早いかもしれません。ただし、現在の部品は設計変更されており、ボーデンケーブル(ロック機構とドアノブを結ぶワイヤー)も同時交換が必要で、このワイヤーの交換はかなり面倒です。またこの折れた部品だけを換えるにはヒンジの分解組み立てが必要で、バネが硬いので、細くて丈夫な丸パイプを使うなど工夫して作業する必要があります。
こんな方法で部品を買う必要も、到着を待つ必要もなく、壊れたその日の晩に修理完了となりました。しかし製造から10年以上暮れており、距離も13万キロ近く。あちこちの樹脂部品がかなり劣化しています。そのうち結局折れてしまって交換することになる気もします。
そこでドア内張りを剥がしてみると案の定、フックの部分が壊れています。ただしネットでよく見るのはバネの押さえが折れるケース。それに対し、うちの場合はなんと回転軸そのものが折れていました(赤の両矢印)。さらに根元にもクラックがあります(青の矢印)。ともあれ、この折れる方の右のパーツは稚拙な設計で、頑丈な左のパーツと同じ人が設計したとはとても思えない、CADの初心者が設計したような形状をしています。
さて、このパーツを取り出すため、ドア内張りを剥がすだけでも一苦労です。ですので、普通は部品を手配してから作業すべきところですが、なぜその日のうちにすぐバラしたのか。それはなんと、このボクスター、「こういうこともあろうかと」予備の部品を最初から搭載しており、交換部品がなくても修理できるのです。さすがポルシェ!・・青矢印の指した部品をよく見てください。この部品、左右対称になっています。なんと左右のドア2個分を1つの金型で済ませるために、左右対称にすることで部品を共通化してあるのです。(ただし、上の写真に写っている2つのパーツとバネが組み立てられた状態で左右それぞれに1つの部品番号が与えられていて、バラバラには買えないので、在庫削減効果はありません)。つまり、反対側に出っ張った軸やバネ受けなどの突起は全くの無駄・・・いや、予備部品としてこれから使うので文句は言えませんね。
これをみて「ああ、いつものポルシェのやり口だな」と思った人はポルシェに詳しい人だと思います。ポルシェは水冷化の時期(つまり986 型のボクスターと996型の911の時代)から、やたらと部品共通化によるコストダウンを図っているのです。例えば大物ではエンジンのシリンダーヘッド周りが左右バンクで共通になっています。ヘッドブロックそのものは部品番号としては別になっていますが、ほぼ同形状で、これは金型が共通で機械加工が異なるためのようです。なおヘッドカバーやカムホルダー・ヘッドガスケットなどは左右が部品番号からして共通です。このために左右バンクでカムチェーンが前後に分かれており、それを駆動するために悪名高きインターミディエイトシャフトが必要になっているのですが・・またサスペンション周りでも、当初はハブキャリアがフロントとリアで共通部品(前後逆に配置、つまり対角線方向に共通)だったり、ロアアームに至っては前後左右4つが共通でした(これも時期によって設計変更され別部品になっているものもあります)。そもそも、値段が倍ほども違うボクスターと911で、前席から前はかなりの割合で部品が共通であることはよく知られており、大衆車に比べ少量生産であるハンディをできるだけ克服しようとした形跡が多く見られます。そのため、必ずしも軽量化が最優先にされているわけではないのです。まあ、これらのコストダウンの成果により、アルミ製のサスペンションアームなど、高価な素材が使用できている側面はあります。
ともあれ、長くなりましたが、修理は簡単です。左右のドアノブのヒンジを取り出し、この折れたパーツを左右で入れ替えるだけです。もっとも、この部品は3,000円程度だそうで、左右の内張りを両方とも剥がすのも面倒なので、部品を買ってしまうほうが早いかもしれません。ただし、現在の部品は設計変更されており、ボーデンケーブル(ロック機構とドアノブを結ぶワイヤー)も同時交換が必要で、このワイヤーの交換はかなり面倒です。またこの折れた部品だけを換えるにはヒンジの分解組み立てが必要で、バネが硬いので、細くて丈夫な丸パイプを使うなど工夫して作業する必要があります。
こんな方法で部品を買う必要も、到着を待つ必要もなく、壊れたその日の晩に修理完了となりました。しかし製造から10年以上暮れており、距離も13万キロ近く。あちこちの樹脂部品がかなり劣化しています。そのうち結局折れてしまって交換することになる気もします。
2019年08月31日
プリロードの調整
以前こちらに書いたように、ボクスターのサスを車高調にしました。いい感じの車高になり、異音もせず良い感じなのですが、どうにも乗り心地が気になるときがあります。ダンパーの減衰力を変えたところで、バネ定数が結構高いのでどうしようもないところもあるのですが、それにしても時々大きいショックが入ります。もしかしてこれは底突き(バンプタッチ=サスが限界まで縮みきって動きがゴムによって止められた状態)が起こっているんじゃないかと思って見てみました。
停止状態ではタイヤとボディの間の隙間が狭くて手が届かず、バンプラバーの上端がどこかわからなかったのですが、ジャッキアップして、そのときに伸びた分を考慮すると、どうもかなり圧縮側(縮む側)のストロークが短いようです。そこで右の写真にあるようにスプリングシートを右へ回して上に上げ(つまりプリロードをかけて)、その分ボトムケースも上に上げ(実際にはサス全体を左へ回してボトムケースにねじ込み)、車高を変えずに圧縮側のストロークを大きくしました。その分、伸び側のストロークは短くなりましたが、乗ってみた結果やはり底突きが解消されたようで、大きい段差でガツンというショックが入りにくくなりました。
プリロード調整をするとバネ定数を上げるのと同じ効果があるとか言うような間違った解説を以前はよく見ましたが、流石に最近では少なくなってきたようです。ですが、どうもわかりやすい解説ばかりではないようなので少し説明をしてみることにしました。上の図は、車両が地面に置かれ、サスには車重がかかった状態(1G状態)です。今回の調整ではスプリングシートを上に上げ、それと同じ分だけボトムケースも上に上げているので、1G状態ではバネの長さや車高などは全く変わらず、ダンパーのアウターケース(紫色)が下に下がっただけです。そのためバンプラバーの上のスペースが広がり、圧縮側のストロークが伸びます。その分もちろん伸び側のストロークは縮みます。
プリロード調整を行う最中は車両をジャッキアップし、上の図のようにタイヤが地面から離れます。このとき、ダンパーは伸び切った状態になり、長さは一定です。そこでスプリングシートを回して締め込んでいくと、バネが縮んでいきます。最初は軽いのですが締め込むにつれて力がかかって重くなりますので、なんとなく直感的にはバネが固くなったような気がするのでしょう。ですが先に書いたように、実際にはジャッキを外すとバネにかかる車重は同じなのでバネの長さも同じになり、仮に非線形なバネであったとしてもバネ定数は変わりようがありません。プリロードを上げるだけだと車高がそのぶん上がってしまいますが、今回のような全長調整式(フルタップ)の車高調であれば純粋に伸び側と圧縮側のストロークの配分を変えることができます。ただし圧縮側のストロークを伸ばすほど伸び側のストロークが短くなるので、上の図のようにジャッキアップ状態ではタイヤから地面までの距離が長くなっていきます。ここからジャッキを外したときにサスがまったく縮まないようだとプリロードのかけすぎで、伸び側ストロークが0ということになってしまいます。
圧縮側の動きは上のムービーのような感じになります。
このように、伸び側と圧縮側のストロークのバランスを取ることは、「サグ出し」と言われオフロードを中心にバイクの分野では重要な調整項目なのですが(普通、伸び側に対して圧縮側のストロークを2倍にする)、自動車ではあまりこの用語は使われないようです。このサス、こちらに書いたようにまず初期値としてゼロタッチ(プリロードがほぼ0で、遊びを殺しただけの状態)でしたが、ゼロタッチはもっとも圧縮側のストロークが短い状態です。車高を下げすぎたり、車高を一定に保ったまま圧縮側のストロークを伸ばしすぎるとサスが縮んだときにタイヤがボディ(タイヤハウス)に干渉する可能性もありますが、現在の状態(フロント20mm、リア15mmのプリロード。車高はノーマルから-20mm)では問題ないようです。
停止状態ではタイヤとボディの間の隙間が狭くて手が届かず、バンプラバーの上端がどこかわからなかったのですが、ジャッキアップして、そのときに伸びた分を考慮すると、どうもかなり圧縮側(縮む側)のストロークが短いようです。そこで右の写真にあるようにスプリングシートを右へ回して上に上げ(つまりプリロードをかけて)、その分ボトムケースも上に上げ(実際にはサス全体を左へ回してボトムケースにねじ込み)、車高を変えずに圧縮側のストロークを大きくしました。その分、伸び側のストロークは短くなりましたが、乗ってみた結果やはり底突きが解消されたようで、大きい段差でガツンというショックが入りにくくなりました。
プリロード調整をするとバネ定数を上げるのと同じ効果があるとか言うような間違った解説を以前はよく見ましたが、流石に最近では少なくなってきたようです。ですが、どうもわかりやすい解説ばかりではないようなので少し説明をしてみることにしました。上の図は、車両が地面に置かれ、サスには車重がかかった状態(1G状態)です。今回の調整ではスプリングシートを上に上げ、それと同じ分だけボトムケースも上に上げているので、1G状態ではバネの長さや車高などは全く変わらず、ダンパーのアウターケース(紫色)が下に下がっただけです。そのためバンプラバーの上のスペースが広がり、圧縮側のストロークが伸びます。その分もちろん伸び側のストロークは縮みます。
プリロード調整を行う最中は車両をジャッキアップし、上の図のようにタイヤが地面から離れます。このとき、ダンパーは伸び切った状態になり、長さは一定です。そこでスプリングシートを回して締め込んでいくと、バネが縮んでいきます。最初は軽いのですが締め込むにつれて力がかかって重くなりますので、なんとなく直感的にはバネが固くなったような気がするのでしょう。ですが先に書いたように、実際にはジャッキを外すとバネにかかる車重は同じなのでバネの長さも同じになり、仮に非線形なバネであったとしてもバネ定数は変わりようがありません。プリロードを上げるだけだと車高がそのぶん上がってしまいますが、今回のような全長調整式(フルタップ)の車高調であれば純粋に伸び側と圧縮側のストロークの配分を変えることができます。ただし圧縮側のストロークを伸ばすほど伸び側のストロークが短くなるので、上の図のようにジャッキアップ状態ではタイヤから地面までの距離が長くなっていきます。ここからジャッキを外したときにサスがまったく縮まないようだとプリロードのかけすぎで、伸び側ストロークが0ということになってしまいます。
圧縮側の動きは上のムービーのような感じになります。
このように、伸び側と圧縮側のストロークのバランスを取ることは、「サグ出し」と言われオフロードを中心にバイクの分野では重要な調整項目なのですが(普通、伸び側に対して圧縮側のストロークを2倍にする)、自動車ではあまりこの用語は使われないようです。このサス、こちらに書いたようにまず初期値としてゼロタッチ(プリロードがほぼ0で、遊びを殺しただけの状態)でしたが、ゼロタッチはもっとも圧縮側のストロークが短い状態です。車高を下げすぎたり、車高を一定に保ったまま圧縮側のストロークを伸ばしすぎるとサスが縮んだときにタイヤがボディ(タイヤハウス)に干渉する可能性もありますが、現在の状態(フロント20mm、リア15mmのプリロード。車高はノーマルから-20mm)では問題ないようです。