2012年12月02日

フィルムで撮る写真(1)

今年も京都で行われる写真展に写真を出展することになりました.そこで久々にブログを更新することにしたのですが,それだけではつまらないので,もうすっかり「前世紀の技術」になってしまった銀塩写真(フィルムで撮る写真)の現状,ただし僕の場合,について何度か連載でご紹介することにしました.

そのまえに写真展のご案内.今回も京都は三条の「同時代ギャラリー」にて,12月11日〜16日の6日間,展示を行います.今年の写真も,鉛筆画調の銀塩写真を展示する予定です.時間やアクセスなど,詳細はこちらに書いておりますので是非御覧ください.

さて,フィルムの写真ですが,今回は使用している機材とフィルムについて少しご紹介します.最近,写真展用の写真の多くは「中判フィルム」と呼ばれる少し大きめのフィルムで撮影しています.

DSCF7322.JPG


この写真で,右のカメラは58年前(1954年)に発売された,ニコン製カメラ黎明期の名機 "Nikon S2" です.今でも完調で,また大変美しいカメラですが,フィルムは近年まで一般的に使われていた「35mmフィルム」と呼ばれるフィルムを使います.それに対して左の大きなカメラは富士フイルムが14年前(1998年)に発売した "GA645Zi" で,こちらはもっと大きな「中判フィルム」を使うものです.このカメラは中判フィルムを使うカメラとしては最も多機能なカメラの1つで,今回の写真展に出展している作品はこのカメラで撮影したものです.これらのカメラで使うフィルムは下の写真のようなものです.

DSCF7332.JPG


左に置いてあるのが中判フィルムで,右が35mmフィルムです.ご覧のとおり,35mmフィルムは缶に入っているのですが,中判フィルムは軸に巻いてあるだけ.ただしフィルムと一緒に不透明な紙が巻いてあるので,フィルムをカメラに出し入れするときに光が当たってせっかくの写真がダメになってしまうことはありません.

35mmフィルムはその名の通り,フィルムの幅が35mmになっています.しかしこのフィルムはもともと映画用に作られたもので,フィルムを速く送るためにフィルムの両端にたくさんの穴(パーフォレーションという)が付けられています.そのため実際に写真撮影に使えるのは24mm幅の部分だけ.多くのカメラでは,1コマの大きさが高さ24mm×幅36mmの範囲になります.

それに対して中判フィルムは幅が60mmもあります.しかも,もともと写真(静止画)用のフィルムなので,左右に穴がありません.11mm分も損してしまう35mmフィルムに対し,このフィルムでは端からそれぞれ2mmずつしか無駄にならず,写真の写る幅は35mフィルムの倍以上,56mmも写ります.この形の中判フィルムは35mmフィルムよりも古くから使われているもので,100年以上の歴史があります.

中判カメラでは画面の形にもいろいろな種類があります.35mmフィルムでは,(普通フィルムは横方向に巻くので)画面の高さ24mmに対して幅はその1.5倍の36mmに決まっています.それに対し,中判では自由に画面の幅を取ることができます.

DSCF7327.JPG


この写真では,カメラ内部のフィルムを装填する部分のうち,写真が写る範囲を赤枠で示しています.上のカメラ GA645Zi では,中判カメラの判型のうちもっとも幅が狭い,41mm 幅の画面を撮影します.この時,画面の高さよりも画面の幅のほうが短いので,普通にカメラを構えると画面は縦長になります.他に人気のあるものとして,画面の幅を画面の高さ56mmと同じにして正方形が撮影できるもの,もっと横長の画面にして高画質なパノラマ写真が撮影できるものなど,古今東西,個性豊かなカメラがたくさん存在します.もちろん画面が大きいほど1本のフィルムで撮影できるコマ数が減ってしまいますが,同じフィルムをいろいろな大きさのカメラで使えるのは便利です.

DSCF7351.JPG


現像済みのフィルムの例です.この写真では,左の中判フィルムは66判と言われる正方形の写真(ローライSL66Eというカメラで撮影したもの)で,右は普通の35mmカメラで撮影したものです.画面が大きいとその分だけフィルムの粒子が写真に現れにくく,高画質になることや,ボケを生かした写真が撮影しやすいなどのメリットがあります.

一昔前は,35mmフィルムに比べて中判のフィルムは売っている店が少なく,現像も小さな写真屋さんでは出来ないので時間がかかる,などのデメリットもあったのですが,これはカラーフィルムに限った話で,僕が作品制作に使っている白黒フィルムではそもそもどちらもさほど違いはありませんでした.今はデジカメが主流になり,35mmフィルムの使い勝手もどんどん不自由になってきているので,ますます大きな違いはなくなってきています.僕自身はフィルムの現像を自宅で行いますし,フィルムはヨドバシカメラなど大型カメラ店に行けば,どちらも違いなく売られています.中判は主にプロ用のフィルムということで値段が高そうな印象がありますが,実はフィルム1本あたりの値段でも中判のほうが35mmよりもかなり安いです(ただし1本で撮影できるコマ数が少ないので,1コマあたりでいくと2〜3倍ぐらいのコストになりますが..).

次回は,フィルムの現像について簡単に紹介しようと思います.
posted by しんさく at 02:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 写真
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