今回の話は僕にとっても突然のことでした.そのうち教授の公募などもチェックするようにしないとならないなと思いつつ,これまで応募したことは一度もありませんでした.ですが今回,幸いなことに望まれて移ることになりました.
現在の大阪大学の環境に不満はありませんでした.理解ある上司,優秀な人材に恵まれて,言ってみれば,楽をさせてもらって来たことばかりでした.まだまだ今のポジションにとどまることも出来たし,実際,決断を下すまでは少しは逡巡もしましたが,考えてみれば京大から戻り助手になってから11年.助教授になってからも7年経っています.数年前から,「そろそろ転がらなければ,苔が生えてしまう」と感じていました.それもあって一昨年はMITへ行ったのですが,それでさらに環境を変えたいという思いが出てきたのかも知れません.
現在の環境を去ることはある種の挑戦であると,自分自身では位置付けています.例えば,私が活動するコンピュータビジョンや画像メディアの分野では,「彼の研究室はえらく活発だな」と言ってもらえるような研究室を目指したい.ここ数年既に取り組んでいることですが,自分自身が第一人者として挙げられるような研究分野の創成と普及も進めたい.だけど,研究室では周りの人に強いて働いてもらうのではなく,明るく楽しく,意義を感じながら研究に取り組めるような環境と雰囲気を作りたい.阪大のように伝統と蓄積のある環境に比べるとスタートラインが後ろにあることは否定できないと思いますが,それだけに出来ることがたくさんあると思っていますし,やればやるだけものになる余地があるだろうと期待しています.小回りのきく規模の新しい大学,というまったく違った環境をとても楽しみにしています.