この動画にあるように、月と曜日、日付の10の位と1の位の4つのドラムが連動しています。どのドラムが入力用(操作用)ということはなく、どれでも自由に、どちら向きにでも、また何回転でも回せ、どのように操作しても曜日と日時の関係が正しく保たれます。
ミソは、内部に仕込まれた3組の遊星歯車にあります。遊星歯車は3つの回転角度を連動させることができるので、2箇所の角度を足した結果を出力することが出来ます。そのときに必ずギア比がかかって減速・加速してしまうのですが、3つ同じギアを使うことで、月と日付の3つのドラムから曜日のドラムへのギア比を、すべて2倍(+2または-2倍)に揃えています。
ちょうど2倍のギア比とすることで、1つの曜日に対して他のドラム上では2箇所ずつを割り当てることが出来ます。月は12種類、日付の1の桁は10種類あるので、それらをうまく配置することで曜日の計算ができます。ギア比が整数なので月・日付のドラムを1回転させると曜日のドラムはちょうど2回転し、もとの状態に戻ります。これによって各ドラムを何回転させてもよい,という性質が生まれます。
日付の配置の説明です。前述のように日付の1の位は10種類で、それをそのまま並べ、空いた部分には、同じ曜日に対応するもう一方の数値を設定しておきます。また10の位は4種類しかありませんので8箇所しか埋まらず、残った6箇所は混乱を避けるために x を表示しています。
月の配置です。例えば3月のように31日ある月は、その翌月の曜日が7で割った余りである3日だけずれます。この性質を用い,3月の次の4月は3だけずれた位置に配置します。2月はうるう年に日数が変わるので、3月を起点にして配置していくと、うまい具合に重複なく収まります。
動画で説明しているように、特定の曜日の日付を順番に調べることも出来ます。1年に一度(順に1日ずつ進めて使うときは3月1日に)、曜日合わせの必要があるので、曜日のドラムはずらすことができるようにもなっています。1年の間であれば任意の日付で曜日合わせして問題ありません。
久々に光造形タイプの3Dプリンタを動かして、40%に縮小したものも作ってみました。これをちゃんと動くように調整するのは大変でしたが、なかなかハイクオリティに出来上がったと思います。
今回のカレンダーの動作原理は、いろいろと考えを巡らすうちに思いついたものですが、過去に同様のアイディアがあったかどうかはわかりません。ネットで検索する限りでは同様の例は見つかりませんでしたが、ともあれ、操作が簡単で機能的なだけではなく、形としてもよくまとまった、お気に入りのデザインの小物ができました。
データは Thingiverseからダウンロードできます。
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