2020年10月20日

機械式7セグメント時計できました

先日作成した機械式のデジタル時計。これが意外にアクセスが良く、また実物を見た人にも好評でした。また自分としても適度な複雑さが面白いものでした。そこでちょっとネットを検索してみると、いろんな変わり種時計へのトライが多くなされていることがわかりました。それでは、と、もう1つ作ってみることにしました。

rot.jpg


前に紹介したように、7セグメント表示を機械式に行うものにはいろいろありますが、多くのモーターを使えばできて当たり前で面白くないので、単一の回転で0〜9の表示ができる機構をいくつか考えました。そのうちの1つが上の写真のように、回転する円盤を複数組み合わせたものです。数字の種類である10は4の倍数ではないため、場所によっては縦と横のセグメントを1つの円盤で共用できるのですが、必然的にそれぞれの扇形が小さくなりセグメントが非常に細くなります。また、文字の周囲に余白部分を大きく取らなければならないので、この方法はボツに。



次に考えたのは、8の字の上下にそれぞれ軸を通し、3〜4個のカムでそれぞれのセグメントを外へ押し出す方式です。これはまずまずうまく動き、またなんと言っても文字の周囲の余白は十分に狭くできます。上の動画では素材の柔軟性を利用し、セグメントが元の位置に戻るバネの働きを持たせましたが、どうもしばらく置いているとバネが曲がったままになって戻りが悪くなるのでそれは諦め、輪ゴムで中央に寄せることにしました。



そして出来上がったのがこの時計です。ネットで調べると、よく似た原理のセグメントを作っている人もいるようですが、ポイントは動きの滑らかさ。1つの文字を表示するのは簡単なのですが、時計として4桁の表示を連動させるにはそれぞれの桁が非常にスムーズに動作する必要があります(すべての桁が一斉に変化する瞬間があるため)。これを実現するためには,カムから伝わる、ねじるような力をうまく受けてスムーズに動かす必要があり、力を受ける点同士をできるだけ遠くに離すのがポイントです。

最上位桁(10時間の桁)は1が表示されるだけなので、専用の軸を置かず、1時間の桁で余ったカム(上下2軸で合計8個までのカムを置けるが、セグメント数は7なので1個余る)を使って動かしています。ですので時間の表示には0がなく、1〜12の表示を繰り返すようなカムをセットしています。もちろん10分の桁は0~5の6種類を繰り返すようになっているので、すべての桁でカムは異なったものになっています。



この時計では背面に「ゼネバ機構」という間欠動作ギアを備えており、1:2の減速ギアを組み合わせることで10分の位(10分おきに1/6回転)と、時間の位(1時間おきに1/12回転)を同じ形のゼネバ機構で実現しているのもポイントかも知れません。すべての桁が機械的に連携しているので、一番下の桁を1分に1回、1/10回転させるだけで時計表示が可能です。しかし時刻合わせをするには桁同士の連携を切り離す必要があるので、真ん中のゼネバ機構を退避できるようにもしました。

スムーズな動きといってもさすがに小型のサーボモーターでは力が足りないため、通常サイズのサーボ(スペックでは3kg-cm)を使用しています。世の中には20kg-cm程度のサーボも安くで売られているので、もっと負荷が高くても大丈夫かもしれませんが、無理をすると、おそらく途中の部品が壊れます。やはりスムーズな作動がポイントかなと思います。

ドラム式の時計では必然的に、ボディの高さが文字の高さの3倍を超えてしまいます(文字の上下をぴったりくっつけても、10文字を配置したドラムの直径は文字の高さの3.2倍以上となる)。ですのであまり大きな文字を表示することはできないのですが、今回のものはかなり表示エリアが大きく、動作も安定しており実用に近い感じがします。部品は実に54種類、115個にもなりますが、3Dプリンタの制約で数が増えている側面もあり、通常の射出成形プロセスならもっと減らせると思います。プラモメーカーさん、プラモデルとして発売しませんか?
タグ:3Dプリンタ
posted by しんさく at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 電子モノ
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