2018年10月20日

カメラ最強スマホ決定戦(3)

第3戦は画質勝負ではなく,絵作りの自由度で勝負です.Panasonic DMC-CM1 には物理的な絞りが備わっていますが,HUAWEI P20 pro にはそれがありません.そのかわり複数のカメラモジュールを用いてシーンの形状を推定し,画像処理により被写界深度を浅くする機能が備わっています.

rawcomp1.jpg

まずはレンズそのものでどの程度背景をぼかすことが出来るかを比べてみます.シーンに対してカメラをほぼ同じ位置に置いて撮影してみました.CM1 (右)は開放絞りのF2.8で,P20 pro (左)はぼかし処理を行わないプロモードです.先のテストと同様にP20 pro のほうが画角が広いので,同じ領域を切り出して画素数を合わせて比較します.

rawcomp2.jpg

左が P20 pro, 右がCM1です.色みや露出の違いは無視してください.CM1 のほうがややボケが大きいようです.CM1は1インチセンサにF2.8のレンズ,それに対して P20 pro は 1/1.7 インチセンサに F1.8 のレンズですので,1.7 ✕ 1.8 = 3.06 となり,CM1 よりも少し口径が小さいことになります.さらに画角が少し広いので余計に被写界深度が浅くなりますが,いずれにしてもあまり大きな違いはありません.また実際には P20 pro のほうが画角が広いので,このようなマクロ写真では被写体を同じ大きさで捉えるべく,すこし近寄って撮影することが多いでしょう.そうすれば被写界深度の違いはほとんど無くなると思われます.

もう1つ印象的だったのは,点光源のボケ方が似ていること.左奥のカメラ(Nikon S2)のキラキラした部分は輪郭と中央に明るい部分が出来るようなボケ型になっていて,とても良く似ています.どちらも多少なりともライカの技術や知見が導入されているからでしょうか.

dof1.jpg

次に被写界深度の調整です.P20 pro には「アパーチャ」という撮影モードがあり,画面上の操作でF値を 0.95 から 16 まで変えられます(0.95 という中途半端な数値はライカのノクチルックスにあやかったものでしょう).上の写真は両端の F16 と F0.95 の例で,狙い通りに背景が大きくぼかされています.画像処理が大変上手で,全景物体の輪郭付近にもほとんど違和感はありません.もっとカメラモジュール数が多く,理論上は制度が高いはずの Light L16 よりもいいかもしれません.ネット上のレビューでも iPhone X 等より高精度に背景がぼかされている(前景物体の輪郭に不自然さがない)結果が多く見られます.


さらになんと,撮影時にリアルタイムにぼけ具合が確認できます.ただソフトウェア処理をするだけでなく,GPU等のハードウェアを活用するなど,そうとう力を入れて開発をしているのだろうと思います.

dof2.jpg

使っているうちにもう1つ,「アパーチャ」モードの用途を発見しました.F16 (左)では画像処理なしのようですが,そこから1ステップ絞りを開いた F13 (右)に設定すると,背景に弱いぼかし処理がかかります.これによって背景のボケがきれいに(なめらかに)なり,背景のノイズも低減されます.上で述べた変わったボケ味が気に入らない場合には使いでがあると思います.

dof3.jpg

一方のCM1では,物理的な絞り値をコントロールすることが出来ます.左は開放の F2.8, 右は絞りきった F11 での撮影例です.狙い通りに被写界深度が深くなっています.そのかわり回折により少し合焦部のシャープネスが下がるのと,光量が減ってノイズが増加し,画像処理(ノイズ除去)の強度が上がってしまいます.明るい環境ではもう少しきれいな結果が得られるでしょうが,そもそも小さなレンズですのでマクロ域でなければ背景のボケが問題になることは少ないのではないかとは思います.

最後に,元画像をダウンロードできるようにしておきます.

P20 pro
プロモード元画像(10MP), 切り出し・縮小(6MP)
アパーチャモードF0.95元画像(10MP)

CM1
F2.8元画像(20MP), 縮小(6MP), F11元画像(20MP)
タグ:P20 pro
posted by しんさく at 02:28| Comment(0) | TrackBack(0) | カメラ
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