参考
http://eps-r.hatenablog.com/entry/2017/11/16/welte
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/shop/1507605776
数年前に発表されて以来,楽しみにしていた Light L16 という16眼カメラがやってきました.
この奇抜な見た目をしたカメラ.28mm, 70mm, 150mm 相当のカメラモジュールが計16個搭載されており,それらが同時に撮影した画像から超高解像度画像を作り出したり,背景を自在にぼかしたり(撮影後にぼけの強さを調整したり)することが出来るカメラです.
このような,コンピュータによる計算によって写真撮影を高度化する技術は「コンピュテーショナルフォトグラフィ」と呼ばれ,私自身の研究分野(仕事)でもあります.この分野の製品は,産業用カメラ(工場の自動化や検査のためのカメラ)にも幾つかの例がありますが,一般消費者向けに発売されたのは以下の3台です.
左の2台は LYTRO 社のカメラで,レンズは1つしかありませんが,撮像素子の手前に工夫を施すことによって,レンズが像を形成する前の光線の状態を記録し,計算機処理によってピントの合わせ直しを行うことが出来るカメラです.高品質なぼけ生成ができますが,画像の解像度が低いという欠点があり,手前の赤いカメラ(初代)と,左の大きなカメラ(LYTRO Illum)を発売した後,この分野からは手を引いてしまいました.それに対して今回の Light L16 は,それぞれのカメラは従来のものと大きく違いませんが,複数のカメラで同時に撮影すること,カメラの撮影方向が鏡の制御によって少し動くことによって新しい機能を実現しています.
その1つが,LYTROにもあった「ぼけのコントロール」です.普通のカメラは撮影時に絞りの大きさ(F値)を決めて,これにより背景のぼけ度合いを調整しますが,この Light L16 では撮影時には絞り値を調整することは出来ません.かわりに,画像をPCに読み込んでから調整することが出来ます.
上の写真で,斜めに引いた赤い線より左が絞りを絞った時,右が絞りを開いて背景や前景をぼかしたときに相当します.同様の機能は最近の,レンズを2つ備えたスマートフォンでも出来るようになっていますが,それよりカメラの数が多く,高精度・高画質に実現できる点がポイントです.
他にも,レンズの突出部が全くないフラットなボディであることなど,面白い点,変わった点の多いカメラですので,おいおい紹介していきたいと思います.
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