先日来実験していた、紫外線硬化樹脂にガラスファイバーを混ぜるのもその一環。細かなパーツの強度を上げられるだけでなく、発泡スチロールの外面に塗布することで傷を予防し、見た目もFRPっぽくならないかという目論見がありました。もちろん普通の、ガラスファイバーのクロスやマットを樹脂で固める方法も検討したし、発泡スチロールカッターも作ったのですが、やっぱり最終的な形状は型の出来不出来によるし、樹脂やクロスを買うと結構なコストになります。重さを軽くするのも結構、技術がいりそうです。
そんなこんなで、結局、大きい3Dプリンタを作ったほうが簡単確実に思い通りの造形ができる・・軽さも出せそう・・という結論に至り、買いました。前の光造形方式のものと同じメーカの ANYCUBIC MEGA X です。どうも今年新発売になった機種のようで、たくさん売れている兄弟機 MEGA S の大型版といえるものです。最大造形サイズは一辺30cmの立方体までとなっています。
なぜ急に3Dプリンタになったのかというと、海外の方の動画で、3Dプリンタでラジコン飛行機を作った例をいくつか見たためです。1つはこちらの動画で、いろんな素材・パラメータで出力して強度試験をしながら、軽量でありながらできるだけ強度が出るようなプリントを追求しています。もう1つはこちらで、3Dプリンタの出力だけでなく、カバーフィルムやカーボンファイバーロッドなどをうまく組み合わせることで強度と軽さを両立させています。言ってみれば、バルサなどを使った従来型のラジコン飛行機キットの現代版という感じで、形状データも販売しているようです。これには、必ずしも全てが3Dプリントでなくても、いろいろと工夫することで強度を出せる、ということの勉強になりました。
そんなわけで、これまで自宅の3Dプリンタでは造形サイズの制約が大きかった(2つに分けて出力してから継ぎ目に紫外線硬化樹脂を塗布して固めることで、ほとんど一体成型と遜色ない大型部品も作れますが)ということもあって、大きめのものを買うことにしました。しかしあまり大きくてもビルドプレートの反りの問題があったり、出力物が大きいと途中で失敗する確率も上がるので小分けにして繋いだほうがいいという話もあったので、そこそこのサイズのものにしました。
もう1つ,新しい3Dプリンタを導入する理由になったのは、造形方式の違いによる出力物の軽さです。光造形方式では中身が詰まった造形が得意ですが、かなり重くなります。それに対して樹脂を溶かして積み上げるFDM方式では、中身を空洞にするのが簡単で、またそうするほうが材料代もかからず、造形速度もずっと速くなります。3Dデータから造形データを生成するのに Ultimaker Curaというソフトを使うのですが、これがまたすぐれもので、非常に多くのパラメータを変えることができ、造形精度、強度と重さのバランスを調整することが出来ます。ですが今回は初回ということであまり軽さを欲張らず、ほどほどのパラメータでホバークラフト本体を出力してみることにしました。造形サイズの限界ということもありますが、オーバーハング部分ができるだけ生じず、かつ、ビルドプラットフォームへの接触面積がある程度確保されるようにということを考えると2分割がよいという結論になり、36x28cmの本体を設計して出力しました。
強度が高く耐熱温度も高いPETGという素材も購入したのですが、まずは付属のPLAという最も確実性の高い素材で出力。2つのパーツを同時に出力しましたが、36時間ほどかかりました。光造形とは違い、2つ同時に出力しても時間の短縮にはならないので、ミスを考えると1つずつ造形したほうが良かったと思うのですが、結果的にはうまく出力されて一安心。重さも Cura の計算どおりで約330gになりました。まえの発泡スチロール製のものに比べると倍ほどの重さになっていますが、強度も段違いという感じです。体積的には約1Lありますので、もし水上でエンジン停止しても自重を支える浮力は十分にあります。
ボディの前半と後半は接着剤で止めてもいいと思いますが、前述の飛行機の例を参考にして、竹の丸棒(といってもコンビニの弁当に付属していたもの)を差し込んで曲げ方向の応力を受けるようにしました。そして前後の固定には別途ラグを付けておいて、タイラップで固定。十二分な強度で固定できました。內部にX字形の補強材(インフィル)が入っていて、それが外観にも影響しているのですが、これが意外といい感じで気に入りました。
そして、既存のプロトタイプに乗せていた Pee Wee 020 のパワーユニットを装着。生憎の雨天で屋外では走らせられていませんが、ガレージでは快調に浮上して走行できることを確認しました。これで完成、でもいいのですが、実はもう1つネタが残っています。エンジンの制御です。今度はパワーユニットのほうを改良して、エンジン出力をラジコンとして制御できるようにします。
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