エンジン式のホバークラフトにこだわっている僕ですが、実はこっそり電動にも手を出していました。やっぱり好きなだけ始動・停止ができ、速度制御も柔軟、しかもパワフル・・という最近のブラシレスモーターは魅力です。普通にモーターとプロペラを買ってもいいのですが、EDF (Electric Ducted Fan = 電動ダクテッドファン) なら小型でプロペラと筐体が一体になっており、搭載しやすく怪我をするリスクも少ないのでいいかと思い試してみることにしました。急ぐものでもないので、Aliexress で一番安いやつを探し、注文しておいたら1ヶ月ほどしてから届きました。1800円ほどです。
EDF そのものは安いのですが、実際に動かすとなると周辺のものがいろいろと必要です。まずはバッテリー。ラジコン用バッテリーはセルのみで保護回路などなく、扱いを誤ると発火の恐れがあるなど少し危険なものです。ですので手を出さないでおこうと思ったのですが、結局買ってしまいました(エンジン式のホバークラフトでも受信機用電源を軽量化するために必要になったので、そちらも別に買っています)。3セル、500mAh の小さなもので、1,312円。これに充電器(2・3セル兼用,970円)、モーターを制御するESC(スピコン、30A, 1,124円)が必要になりました。他にコネクタや熱収縮チューブのセットも買いましたが、一番高くついたのは火災予防のアンモボックス(弾薬箱, 2,196円)。しかし安心には代えられません。
Blender でのモデリングにもかなり慣れてきて時間もかからなくなってきました。EDF の能力(風圧)が高く余裕があるので、今回は手軽に遊べるようにと小型にしました。造形パラメータもあまり軽量化にはこだわらず強度重視で、PLA で造形。小さいですがバッテリー込みで実測377gになりました。
こちらが制作から試運転までの動画です。今回は EDF のパワーチェックから造形など一通りがわかる動画にしてみました。EDF は一番安いものでしたがパワーはかなりあり、推力は750gとのこと。つまり自重よりも推力があるわけで、作りようによっては地面効果がなくてもまっすぐ上昇するパワーがあります。しかし消費電流は25Aなので、フルパワーで連続運転すると電池は1分ほどしか持たない計算です(モーターやESCがそんなに長い連続運転には耐えられないと思いますが)。ガレージでは、フルスロットルは使えても一瞬で、それでも暴走したりしますが、どうも風速が早いためか浮力の中心が後ろ寄りで、重心も後ろに寄せているのですが前下がりになり運転がしづらいです。少し大きいバッテリーを積んでもいいかもしれません。ちなみにこれぐらいのハーフスロットルで遊ぶぶんには10分ほど動かせました。意外と遊べますが、エンジン式と違って電池がなくなるとそれで終了。予備があれば交換はすぐですが、なければかえって充電する他ありません。
2020年07月28日
2020年07月27日
ディーゼルエンジンを試す
模型用エンジンを調べていると、よく使われているグロー点火方式のエンジンの他に、ディーゼルエンジンがあることがわかりました。大雑把に言うとグロー方式が広く使われているのは日本と北米だけで、ヨーロッパや東側諸国ではディーゼルエンジンが一般的だったようです。ディーゼルエンジンの魅力はなんと言っても、始動時にグローを加熱するバッテリーの接続が不要なこと。ちょっと試してみようと1つ入手してみました。
ヨーロッパでは今でも模型用エンジンを作っているところがあるようで、例えばイギリスのP.A.W (Progress Aero Works)は様々な仕様・大きさのエンジンを展開しています。0.55cc と小さく、回転数が制御できるバージョンもあり非常に魅力的ですが、ebay では結構高くなることと、燃料タンクや配管に面倒がある(ディーゼル燃料はグロー燃料よりも樹脂を溶かしやすく、材質を選びます)ということで、今回は整備用の工具やマウントなども一通り持っており、扱い慣れてきた Cox のものを購入しました。Cox は北米の会社なのでそもそもはグロー方式のエンジンしかなかったのですが、それをディーゼルに改造するヘッドが開発されており、それを搭載したエンジンが新品で売られています。タンク付きのBebeBeeタイプのエンジンではクランクが折れやすいということですが、その対策部品(強化クランク)も最初から搭載されています。
この手の模型用ディーゼルエンジンはどれも、ヘッドにネジがついています。これは圧縮率を調整するためのもので、模型用ディーゼルエンジンの肝とも言える部品です。自動車用のディーゼルエンジンでは燃焼室内で圧縮された空気に燃料を高圧で噴射して燃焼させますが、模型用ディーゼルエンジンでは混合気を吸入して圧縮添加する、予混合圧縮着火という方式になっています。そのため点火タイミングは圧縮率で変化し、それをコントロールする必要があるわけです。ネジを締め込むと、通常のピストンとは別のヘッド内のピストン(カウンターピストン)が押し下げられて圧縮率が上がる仕組みです。
実際に動かしてみました。Cox によると慣らし運転(ブレークイン)をまず通常のグローヘッド・グロー燃料で行えとあるので、タンク2回分ほどならし運転をし、ヘッドを交換します。圧縮比と空燃比の両方を調整しないとならないので、なかなかうまく回るところが見つけられず少し苦労しましたが、無事始動しました。圧縮比を上げつつ燃料を薄くすると回転が上がりますが、あまり攻めるとオーバーヒートするそうで、程々がいいようですが、同じ排気量ではグロー燃料よりもトルクがあるそうで、より大きなプロペラが好適となるようです。
使ってみた感想は以下の通り。
良い点:
悪い点:
そういうことで、電池がいらないのはいいのですが、始動にかかる手間が少ないわけでもなく、取り扱いの面倒さ、燃料の価格なども考えると、ちょっと移行するには難しいという感じでした。とはいえ使い慣れたわけでもありませんので、もうちょっと試して見る必要があるかもしれません。また 0.8cc でなく、もっと大きいエンジンなら安定しており始動も楽かもしれません。
実はもう1つ、こんなエンジンも入手しています。なんとこのエンジン、カメラやレンズで有名なドイツ・カールツァイス(第二次大戦後、東側になったカールツァイス・イエナ)が1960年頃に製造していたエンジンで、1cc のものです。できたらこれも動かしてみたいところですが、手で回してみた感じからすると気密が下がっているようで、これでは圧縮着火は難しいかもしれません。タンクを繋がないまでも、プライミングで初爆ぐらいは確認したいところですが・・
ヨーロッパでは今でも模型用エンジンを作っているところがあるようで、例えばイギリスのP.A.W (Progress Aero Works)は様々な仕様・大きさのエンジンを展開しています。0.55cc と小さく、回転数が制御できるバージョンもあり非常に魅力的ですが、ebay では結構高くなることと、燃料タンクや配管に面倒がある(ディーゼル燃料はグロー燃料よりも樹脂を溶かしやすく、材質を選びます)ということで、今回は整備用の工具やマウントなども一通り持っており、扱い慣れてきた Cox のものを購入しました。Cox は北米の会社なのでそもそもはグロー方式のエンジンしかなかったのですが、それをディーゼルに改造するヘッドが開発されており、それを搭載したエンジンが新品で売られています。タンク付きのBebeBeeタイプのエンジンではクランクが折れやすいということですが、その対策部品(強化クランク)も最初から搭載されています。
この手の模型用ディーゼルエンジンはどれも、ヘッドにネジがついています。これは圧縮率を調整するためのもので、模型用ディーゼルエンジンの肝とも言える部品です。自動車用のディーゼルエンジンでは燃焼室内で圧縮された空気に燃料を高圧で噴射して燃焼させますが、模型用ディーゼルエンジンでは混合気を吸入して圧縮添加する、予混合圧縮着火という方式になっています。そのため点火タイミングは圧縮率で変化し、それをコントロールする必要があるわけです。ネジを締め込むと、通常のピストンとは別のヘッド内のピストン(カウンターピストン)が押し下げられて圧縮率が上がる仕組みです。
実際に動かしてみました。Cox によると慣らし運転(ブレークイン)をまず通常のグローヘッド・グロー燃料で行えとあるので、タンク2回分ほどならし運転をし、ヘッドを交換します。圧縮比と空燃比の両方を調整しないとならないので、なかなかうまく回るところが見つけられず少し苦労しましたが、無事始動しました。圧縮比を上げつつ燃料を薄くすると回転が上がりますが、あまり攻めるとオーバーヒートするそうで、程々がいいようですが、同じ排気量ではグロー燃料よりもトルクがあるそうで、より大きなプロペラが好適となるようです。
使ってみた感想は以下の通り。
良い点:
- 最大のメリットはやはり、グローヘッドを加熱する電池の接続がいらない点でしょう。
- 端切れのいい音で、低速でもトルクフルで、大きめのプロペラを少し遅めに回すのに向いているようです。
悪い点:
- よく言われることのようですが、グロー方式よりも始動が難しいです。いいセッティングが見つかったと思っても、同じポジションでまたすぐ始動するかというとそうでもなく、ヘッドが温まっているかどうかによってかなり変わるようです。まだ始動時はかなり圧縮を高めにして燃料も濃くする必要がありますが、周り出すと燃料を薄くして圧縮比を下げる必要があり、よいポジションで固定することも出来ません。
- 燃料の違いによるものか、かなり匂いがします。グロー方式は燃焼時の匂いが薄いだけでなく、燃料もさほど匂いませんが、ディーゼル用の燃料はかなり匂います。灯油の匂いが主体ですが、他の匂いもあります。また燃焼時の匂いも濃く、エンジン回転中に白い排ガスが見えることもあります。かなり服に臭いが染み付きました。今回はあまり問題になりませんでしたが、燃料タンクや配管の材質にも注意が必要だそうです。
- 燃料の粘度が高く、また油が拭きづらいです。グロー燃料はサラサラで、いかにもアルコール主体という感じで拭き取れば油もかなり取れますが、ディーゼル燃料のオイルは自動車用(2スト含む)のオイルのようで、石鹸で手洗いするときも2回ぐらいはしっかり洗わないとヌルヌルがとれません。もちろん模型や周囲の機器の油汚れもかなり落ちにくいです。個人的にはこれが一番きつい気がします。
そういうことで、電池がいらないのはいいのですが、始動にかかる手間が少ないわけでもなく、取り扱いの面倒さ、燃料の価格なども考えると、ちょっと移行するには難しいという感じでした。とはいえ使い慣れたわけでもありませんので、もうちょっと試して見る必要があるかもしれません。また 0.8cc でなく、もっと大きいエンジンなら安定しており始動も楽かもしれません。
実はもう1つ、こんなエンジンも入手しています。なんとこのエンジン、カメラやレンズで有名なドイツ・カールツァイス(第二次大戦後、東側になったカールツァイス・イエナ)が1960年頃に製造していたエンジンで、1cc のものです。できたらこれも動かしてみたいところですが、手で回してみた感じからすると気密が下がっているようで、これでは圧縮着火は難しいかもしれません。タンクを繋がないまでも、プライミングで初爆ぐらいは確認したいところですが・・
2020年07月25日
扇風機を作る
ちょっとホバークラフト作りはお休みして扇風機を作りました。これ、前にこちらで紹介した電動版ホバークラフトの制作に使ったもので、もとはといえばダイソン風の羽なし扇風機に入っていたPC用の冷却ファンです。ホバークラフトをいろいろ試作する過程で取り外してしまっており、暑くなってきたこともあるので元通りの扇風機に組み立て直したのですが、どうもやはりこのダイソン風の通風路を通るときの圧力損失が大きいようで、裸で使ったほうがずっと風力があります。そこで、顔を向くように斜めに置きつつ、指が羽根に触れにくい筐体を作ってみました。
いつもどおりチャチャッとBlenderでモデリングしました。モデリングでは一応、サポート材が不要なように意識しながら造形します。しかし一抹の不安が。各スライスの造形中にプリントヘッドが空中を移動する機会が多いため、かなり糸引きが起こりそうです。まあでも、ものは試しだな、と、素材を PETG から PLA に戻して造形したのですが、設定も良くなかったようで(密着度優先)、糸引きが盛大に起こってしまいました。
かといって作り直すほどのこともないので、リューターやヤスリで整えて組み立てました。スッキリした見た目で形的には気に入りましたが、欠点としては、音が大きい・・・これはしかたないですね。また、ファンむき出しに比べると、これだけでもグリルがつくと風量が落ちるようです。
つい手抜きして一体で造形できるようにデザインしてしまいますが、こういう場合はせめて組み立て式にして、表面と裏面のグリルをそれぞれ水平で造形するのがいいのだろうと思います。
いつもどおりチャチャッとBlenderでモデリングしました。モデリングでは一応、サポート材が不要なように意識しながら造形します。しかし一抹の不安が。各スライスの造形中にプリントヘッドが空中を移動する機会が多いため、かなり糸引きが起こりそうです。まあでも、ものは試しだな、と、素材を PETG から PLA に戻して造形したのですが、設定も良くなかったようで(密着度優先)、糸引きが盛大に起こってしまいました。
かといって作り直すほどのこともないので、リューターやヤスリで整えて組み立てました。スッキリした見た目で形的には気に入りましたが、欠点としては、音が大きい・・・これはしかたないですね。また、ファンむき出しに比べると、これだけでもグリルがつくと風量が落ちるようです。
つい手抜きして一体で造形できるようにデザインしてしまいますが、こういう場合はせめて組み立て式にして、表面と裏面のグリルをそれぞれ水平で造形するのがいいのだろうと思います。
タグ:3Dプリンタ