2013年02月26日

ピリッと切れる超小型レンズ

意外にレアなレンズ,Nikkor ED 28-200mm/F3.5-5.6G を試してみました.

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このレンズ,デジタル一眼レフが普及し始めた頃(2003年)にフィルムカメラ用として出たもので,誰からもほとんど見向きされなかったレンズです.2003年というと,最後の廉価版フィルム一眼レフ,ニコンU2が出た年で,一応その翌年にニコンF6が出るものの,既にデジタルカメラへ急速に軸足が移っている時期でした.デジタル一眼レフはまだまだ高価でしたがD1の他にD100が出ており,翌年2004年に爆発的に売れた名機D70が出るというタイミングで,デジタル一眼レフ(DXフォーマット)専用レンズの開発が急がれていた時期です.そんな中で登場したこのレンズ,廉価版ゆえにモータ内蔵(AF-Sタイプ)でなく,しかし絞りリングが省略されてしまったGタイプということで,ほとんど認知されていないレンズかと思います.2006年に多くのフィルム式カメラが製造終了するとともにこのレンズも早3年で製造終了になり,前身のDタイプは結構見かけるものの,このGタイプというと1/10も出回っていない感じです.

しかし,海外の一部の評論家がフルサイズ(FXフォーマット)のデジタル一眼レフにつけてみたところ画質が良かったために高く評価するようになっています.1つは一部で有名な?Ken Rockwell さんで,彼はこのレンズを Nikon's 10 Best Lenses に選んでいます.
http://www.kenrockwell.com/nikon/10-best.htm

他に,こちらの "nikonian" でも絶賛という感じです.
http://resources.nikonians.org/reviews?alias=nikkor-28-200g

私はとある経路で税込15,000円弱で入手することができました.

まず,嬉しいのはその大きさと軽さ.現行型の 28-300mm/F3.5-5.6VR は800gもあるかなり巨大なレンズですが,それに比べ 200-300mm の範囲がないだけのこのレンズは,たった360g.フルサイズフォーマット用高倍率ズームなのにとても小さく,写真のようにまさ手のひらサイズ.冒頭の写真にもあるように,花形フードが付くニッコールレンズとしても最小かもしれません.なにしろ軽いので,フードを付けてカメラを床に置いてもレンズの重みで前へお辞儀しないぐらいです.どこもかしこもプラスティック製ですが,さすがにニコン製だけあって質感は悪くありません.レンズ枚数は11群12枚で,これは高倍率ズームとしてはレンズメーカ製のものとくらべてもかなり少ないのですが,そんな中に上記28-300mmよりも多いEDレンズ3枚と非球面レンズ3枚を使った意外と贅沢な中身になっています.

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さて,問題の画質です.他のお手頃・高倍率ズームと取り混ぜて試写してみましたので,こちらをご覧ください.結果,・・なんとD800Eの高解像度でも中央部は,焦点距離を問わず,開放絞りから十分な解像度とコントラストを持っています.主要被写体が来ることの多い中央部分の画質を重視するニコンらしい設計です.高倍率ズームだけに周辺部はさすがに同様とはいきませんが,広角側の周辺部はたいていのズームレンズよりも高画質ですし,その他の焦点距離でも周辺部は芯を保ちつつコントラストが下がる描写で,像が変に流れたりしません.望遠端でも中央付近はシャープさを保ち,レンズメーカ製 28-300mm の望遠端より,このレンズをDXフォーマットで使ったほうがシャープなようです.ズーム全域で44cmまで寄れ,焦点距離200mm時に 1:3 ぐらいの接写ができますが,この時の画質も色収差などが殆ど目立たないシャープで美しい描写です(200mm F8時の例.等倍表示には,写真をクリックしてください.また,オリジナル画像はこちら).

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まだあまり実写で使っておらず,お見せできるような写真がないのですが,以下の写真もD800Eでの撮影(子供のバストショットの前髪部分,90mm F5.6時)の等倍切り出しです.眼鏡のハイライト部分で少しハロがありますが,シャープな描写です(等倍表示には,写真をクリックしてください).

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ちなみに Ken Rockwell がリストアップしている 10 best lenses の中には,最廉価ズームレンズたる 28-80mm/F3.3-5.6G も入っています.意外な感じですが,このレンズ,当時はニコンUシリーズとセットで売られており,安い割に非常に描写がいいと一部で話題になったことのあるレンズです.ありふれたレンズですし,ちょっとした飲み代ぐらいで入手できるレンズですが,こっちも驚きの描写力です.特に50-80mm域はこちら(28-80mm)のほうが良いようです.

さて,この28-200mmレンズの欠点として1つ,ズームリングの回転方向が他のニッコールレンズと逆回転であることが挙げられます.また,中古品で探すと黒色ラバー部分が白っぽくなっているものが多く見られ,どうも材質の問題のようですが,これは爪楊枝の先などでこすると綺麗になりますので,かえって安価に入手できてラッキー・・ぐらいに思っているのがよさそうです.

色々なレンズをD800Eで再評価していますが,現行型の手ぶれ補正付きズームレンズが実はかなり性能が悪かったりするものもいくつか見ました.ズームレンズは中身でレンズが複雑に動くために,多かれ少なかれ画質が左右や上下で不均等なものがほとんどでした.手持ちのレンズの中で開放絞りから不安なく使えるものは,実は最新のオートフォーカスレンズでなく,古くから使っているマニュアルフォーカスの単焦点レンズ,特にAiS Micro Nikkor 55mm F2.8, AiS 105mm F2.5 AiS180mmED F2.8などだけでした.どうもスペックや機能の比重が,品質や耐久性よりも優先されてきているようです.そんな中で廉価版のレンズはスペックを無理していないからか,意外に良い物があるようです.
posted by しんさく at 00:25| Comment(2) | TrackBack(0) | カメラ