2012年03月26日

未来のカメラ?LYTRO

最近,一部で話題を呼んでいる未来のカメラ?LYTROを入手しました.

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このカメラ,なにが「未来」なのか?それは,写真を撮った後から何度でも「ピントの合わせ直し」が出来るからです.まずは以下の写真で好きなところをクリックしてみてください.





クリックしたところにピントが合い,それより手前や奥がぼかされます.これまでのカメラでは,レンズの働きで光を集めて2次元の画像にしているため,ピント合わせには実際のレンズの調整が必要でした.それに対しこのカメラでは,カメラへやってきた光線を「バラバラのまま」で記録し,後からレンズの働きを計算機シミュレーションすることで画像を作っています.

・・というような原理はともかくとして,このカメラ,前から興味を持っていました.LYTROというベンチャー企業(と,その前身の Refocus Imaging 社)が立ち上げられた頃,いやその前に,創業者がスタンフォード大学で研究を行っていた頃からウォッチしていました.というのも,私自身の研究分野に近いからで,技術として興味はあっても,実は自分自身の写真撮影に使おうという考えはほとんどなかったのですが..いよいよ世の中に出回りだしてみると,やはりその面白さというか,目新しさに惹かれました.もちろん「初もの」らしく未完成な部分や従来のカメラに劣るところもあるのですが,ある意味で従来のカメラとは「全く別物」なので,比べるのは野暮というものでしょう.

さて,このカメラ.昨年秋に実機の概要が発表され,今月頭から出荷が開始されていましたが,発送先は米国内のみで,日本からは簡単には買うことが出来ません.そこで私は,昔からクラシックカメラ収集で使っている ebay で購入しました.出荷開始直後は高騰していましたが,今はある程度の数が出回ったようで,値段的にも落ち着いてきています.

このカメラは発売前から注目を集めていたということもあり,既にあちこちでレビュー記事が出ています.デジタルガジェット分野で人気の高い engadget や,カメラ評価専門の dpreviewで詳しく紹介されていますし,日本語記事もこちらにあります.なので詳しくはそちらを御覧ください.

パッケージは,最初の写真にあるとおり,どこかで見たような..そう,iPhone など Apple 製品にそっくりです.各面に原寸大の写真が使われているところや,真っ白な箱の中身がディスプレイケースのようになっていて,その下に必要最小限の説明書とケーブルしかないところなど..この "Appleかぶれ" は徹底していて,このカメラを使うのに必須のパソコン側のソフトも Mac にしか対応していません(将来,Windows 用が出るそうです).

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製品そのものも,Apple を参考にしているようです.特にカラーアルマイト加工されたアルミ外装部分は,iPod mini などのちょっと古い iPod の感じに似ています.正方形のディスプレイは大きさが現行 iPod nano とほぼ同じですが,部品は違うようで,iPod nano より画面が荒いのがちょっと残念...ですが,Apple (の iPhone)よりも良いのは,ちゃんとストラップが取り付けられるところでしょうか.手前のグレーの部分は滑りにくく,よい質感で,電源スイッチ(下面)とシャッターボタン(ちょっと窪んでいるので手探りで場所がわかる)は実際に押し込んだときのクリック感もあります.

操作はほとんど「シャッターを押すだけ」で,あとはタッチ式のズームがあるぐらい.電源スイッチを押さなくても,シャッターボタンを押すと電源が入り,1秒ぐらいですぐに撮影ができます.意外とサクサク,1〜2秒間隔ぐらいで写真を次々と撮ることも出来ます.撮影モードは普段使い用と,クリエイティブモードの2つがあり,下のようなマクロ写真はクリエイティブモードで撮ることが出来ます.




被写体から離れて広角で撮ると,ピント合わせをするまでもなくほとんど全部の物体にピントが合うので,このようなマクロ写真のほうが面白そうです.これから春になり,花の季節になると楽しいでしょう.肝心の画質は,何百万画素もあるデジタルカメラよりはずっと劣り,ピントを合わせ直した結果画像も 1080x1080画素に過ぎません.ですが,ブログや facebook に貼り付けるには十二分です.ピントの合わせ直しの操作を楽しむものなので,結局はパソコンの画面で見る方がよく,その点では LYTRO のウェブサイトで写真を公開するサービスが既に整っているのもよいところです.

LYTRO 創業者の Ren Ng さんは,自前でカメラを作ることを決断する前には,日本国内の多くのカメラメーカを行脚したという噂も聞きます.どこか日本のメーカが飛び道具的に出してくれていても面白かったかも..と思ったりしますが,ベンチャーだからこそのとんがった部分や割り切りが好ましいのも確か.「コンピュテーショナルフォトグラフィ」と呼ばれる最新技術がいよいよ市場に,という感慨もありますが,一方で画質ばかりを追い求めた従来の写真に対し,web 志向のこのカメラは,SNS 時代の寵児でもあるでしょう.行き着いた感のあるカメラの世界がさらにこれでまた一歩先に進む,という期待を持たせてくれるカメラです.
posted by しんさく at 19:53| Comment(4) | TrackBack(0) | 電子モノ