2018年10月20日

カメラ最強スマホ決定戦(4)

最後に,無謀にもデジタル一眼レフカメラと画質を比較してみることにしました.しかも相手は,少し前のカメラですが高画素数で話題になったD800Eです.さてどうなるでしょうか.

all.jpg

D800Eに画角がほぼ同じになる28mm単焦点レンズを取り付けて撮影しました.ただし手持ちの28mm単焦点は古いもの(NewNikkor 28mm F3.5)しかありません.もっとも他のズームレンズの画質がこれを超えるわけではありません.そこで念のため,開放絞りの他にF11まで絞り込んで撮影しました.画像はRAWファイルで保存します.P20 pro にも RAWファイルを保存する機能があるので,それを使いました.そして両方のファイルを Photoshop で,同じシャープネスのパラメータで現像しました.周辺光量低下も補正されていませんので,D800E のF3.5開放と,P20 pro のどちらも周辺が暗くなっているのがわかります(絞り込むとかなり改善しています).今回は画素数があまり変わらないのと,画素数の多い P20 pro のほうが縦に画角が広いため,今回はリサイズをせずにそのまま等倍で比較します.

comp.jpg

上の写真も順番は同じく,左からD800E + 28mmF3.5 の開放とF11, P20 pro の順です.なんと,意外と差がありません.中央部ではどれもシャープでディテールの再現もあまり違いがありませんが,さすがに絞り込んだ場合は明るい部分のハロが小さくコントラストが高くなっています.周辺部では 28mm F3.5 開放では甘くなっていますが,それに比べると P20 pro のレンズは(F1.8と大口径の割には)画質の均質性が高いようです.絞り込んだ写真はさすがに全体にシャープですが倍率色収差が残ります.それに対し P20 pro では倍率色収差は見られません.優秀なレンズです.

dev.jpg

P20 pro 内蔵の現像エンジンは,かなり画像処理の強度が高いものです.明るい状況でもデノイズ処理が働き,ディテールが潰れがちですし,エッジ強調が強すぎて明暗の境界が不自然になります.また色も派手すぎます.幸い,上記のように P20 pro ではRAWファイルが保存できます.しかもそのフォーマットは Adobe が提唱した共通規格の DNG ですので,最新の現像ソフトウェアを使わなくても現像が可能です.ここぞというときには RAW を ON にして撮影すると良いようです.ただしファイルサイズが1枚で約 80MB と巨大なのが玉に瑕・・ではありますが.

最後にやはり,元ファイルを掲載しておきます.
D800E, NewNikkor 28mm F3.5 F3.5, F11
P20 pro RAWから現像, 撮って出しJPEG
タグ:P20 pro
posted by しんさく at 19:12| Comment(0) | TrackBack(0) | カメラ

カメラ最強スマホ決定戦(3)

第3戦は画質勝負ではなく,絵作りの自由度で勝負です.Panasonic DMC-CM1 には物理的な絞りが備わっていますが,HUAWEI P20 pro にはそれがありません.そのかわり複数のカメラモジュールを用いてシーンの形状を推定し,画像処理により被写界深度を浅くする機能が備わっています.

rawcomp1.jpg

まずはレンズそのものでどの程度背景をぼかすことが出来るかを比べてみます.シーンに対してカメラをほぼ同じ位置に置いて撮影してみました.CM1 (右)は開放絞りのF2.8で,P20 pro (左)はぼかし処理を行わないプロモードです.先のテストと同様にP20 pro のほうが画角が広いので,同じ領域を切り出して画素数を合わせて比較します.

rawcomp2.jpg

左が P20 pro, 右がCM1です.色みや露出の違いは無視してください.CM1 のほうがややボケが大きいようです.CM1は1インチセンサにF2.8のレンズ,それに対して P20 pro は 1/1.7 インチセンサに F1.8 のレンズですので,1.7 ✕ 1.8 = 3.06 となり,CM1 よりも少し口径が小さいことになります.さらに画角が少し広いので余計に被写界深度が浅くなりますが,いずれにしてもあまり大きな違いはありません.また実際には P20 pro のほうが画角が広いので,このようなマクロ写真では被写体を同じ大きさで捉えるべく,すこし近寄って撮影することが多いでしょう.そうすれば被写界深度の違いはほとんど無くなると思われます.

もう1つ印象的だったのは,点光源のボケ方が似ていること.左奥のカメラ(Nikon S2)のキラキラした部分は輪郭と中央に明るい部分が出来るようなボケ型になっていて,とても良く似ています.どちらも多少なりともライカの技術や知見が導入されているからでしょうか.

dof1.jpg

次に被写界深度の調整です.P20 pro には「アパーチャ」という撮影モードがあり,画面上の操作でF値を 0.95 から 16 まで変えられます(0.95 という中途半端な数値はライカのノクチルックスにあやかったものでしょう).上の写真は両端の F16 と F0.95 の例で,狙い通りに背景が大きくぼかされています.画像処理が大変上手で,全景物体の輪郭付近にもほとんど違和感はありません.もっとカメラモジュール数が多く,理論上は制度が高いはずの Light L16 よりもいいかもしれません.ネット上のレビューでも iPhone X 等より高精度に背景がぼかされている(前景物体の輪郭に不自然さがない)結果が多く見られます.


さらになんと,撮影時にリアルタイムにぼけ具合が確認できます.ただソフトウェア処理をするだけでなく,GPU等のハードウェアを活用するなど,そうとう力を入れて開発をしているのだろうと思います.

dof2.jpg

使っているうちにもう1つ,「アパーチャ」モードの用途を発見しました.F16 (左)では画像処理なしのようですが,そこから1ステップ絞りを開いた F13 (右)に設定すると,背景に弱いぼかし処理がかかります.これによって背景のボケがきれいに(なめらかに)なり,背景のノイズも低減されます.上で述べた変わったボケ味が気に入らない場合には使いでがあると思います.

dof3.jpg

一方のCM1では,物理的な絞り値をコントロールすることが出来ます.左は開放の F2.8, 右は絞りきった F11 での撮影例です.狙い通りに被写界深度が深くなっています.そのかわり回折により少し合焦部のシャープネスが下がるのと,光量が減ってノイズが増加し,画像処理(ノイズ除去)の強度が上がってしまいます.明るい環境ではもう少しきれいな結果が得られるでしょうが,そもそも小さなレンズですのでマクロ域でなければ背景のボケが問題になることは少ないのではないかとは思います.

最後に,元画像をダウンロードできるようにしておきます.

P20 pro
プロモード元画像(10MP), 切り出し・縮小(6MP)
アパーチャモードF0.95元画像(10MP)

CM1
F2.8元画像(20MP), 縮小(6MP), F11元画像(20MP)
タグ:P20 pro
posted by しんさく at 02:28| Comment(0) | TrackBack(0) | カメラ

2018年10月19日

カメラ最強スマホ決定戦(2)

つづいて暗所性能を比較します.深夜の町中の様子を撮影しました.P20 pro にはいろいろな撮影モードがあり,夜景専用のモードもあります.このモードでは露出を変えながら多数の画像を撮影し,合成することで暗所を明るく出来るのですが,今回はカメラそのものの素の性能で比較しようということで,前回同様,最高解像度の40MPで撮影しました.

fov.jpg

かなり暗い,厳しい環境でのテストです.先と同様に,CM1 の画角範囲内を切り出してから同サイズに縮小して比較します.P20 pro に比べCM1はより明るく撮影してしまい,夜景の印象に比べて明るすぎる画像になってしまったため,見た目に P20 pro とほぼお同じ明るさになるよう -1 段の露出補正を行いました.

comp.jpg

比較結果は上のようになります.このような状況では画像処理による強力なノイズ除去がかかり,それによる差も大きくなりますが,まずはデフォルトでの「撮って出し」での比較です.全体に P20 pro のほうがノイズ除去が強力なこともあって低ノイズですが,ディテールも悪くありません.CM1 のほうは前の比較のときにも書いたように明るい部分の回りには色収差によるパープルフリンジが目立ちます.

画像処理により全体として CM1 は黒い線が細くなり,P20 pro は逆に黒い線が太くなる方向に変化が起こるようで,印象がかなり違う部分もありますが,どちらも優秀なカメラであることには違いありません.そもそもこれらの画像は2000万画素という非常に大きな画像の一部ですから,縮小するとノイズは平均化されてしまってあまり見えなくなります.

なお撮影データは,P20 pro が ISO640, F1.8, 1/20秒.CM1 が ISO1600, F2.8, 1/40秒でした.CM1ではもう少しシャッター速度を落とせたとも思いますが,露出補正をマイナスに動かすとシャッター速度が早くなる方向に制御されてしまうため仕方なくそのまま撮影しました.ただし P20 pro には光学式手ぶれ補正が備わるのに対し CM1 にはありませんので,それを勘案すると P20 pro のほうが夜景撮影には向いていると思われます.

今回も,上で示した画像の元画像をダウンロードできるようにしておきます.
LUMIX DMC-CM1, F2.8 元画像(20MP)
HUAWEI P20 pro, F1.8 元画像(40MP), CM1と同一部分を切り出し縮小した画像(20MP)
タグ:P20 pro
posted by しんさく at 02:02| Comment(0) | TrackBack(0) | カメラ